
日本全国地震列島。日本は、いつどこで地震が起こるか分からない地域。東京などの都市圏はもちろん、中山間地域においても、住人はいつも地震に備えておかなければ、自分や家族の生命、財産は守れません。
そこで、日本の防災の権威、目黒教授がご指南。連載第15回目は「防災における“自分自身の力”って、なんのことですか?」。
目黒教授 前回、行政の能力を考えると過度な期待は無理だという話をしましたが、この背景には「皆さんご自身の力を充分に理解してほしい」という願いがあります。また、これまでわが国の災害対策の主体は公助でしたが、現在の少子高齢化、人口減少や財政的な制約を考えれば、公助の割合を従来通り維持することはできませんので、それを自助や共助の主体である個人や法人が担わなくてはなりません。さらに言えば、発災直後に自分の安全を確保できるのは自分しかいないということです。
そのため、自分でできることはしっかりと備えておくべきです。しかし、多くの人はやれば簡単にできることもしないまま、被害を拡大させてしまっているのです。次回に詳しく説明する「災害イマジネーション」を働かせて考えれば、発災までの時間、発災直後、事後のそれぞれのタイミングでやれることがたくさんあることに気づくはずです。それを今からやっていただきたいのです。そうすれば皆さんが災害時に直面する厳しさや苦労を大幅に軽減することができます。これを称して「己を知る」と言っています。(次回に続く)
●目黒公郎プロフィール
東京大学大学院情報学環長・教授。専門は総合災害管理、国際防災戦略。内閣府本府参与、多数の省庁の防災委員、日本地震工学会、地域安全学会、日本自然災害学会などの会長を歴任。防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。
●目黒教授のラジオ連載「みんなのサンデー防災」は、各種の災害がもたらす被害の最小化と、災害時を被災地地域の課題を解決する機会として活用し、発災以前よりもいい地域に改善するために必聴の番組。毎週日曜14時〜全国コミュニティFMで放送中。詳しくは「みんなのサンデー防災」で検索してみてください。
