
日本全国地震列島。日本は、いつどこで地震が起こるか分からない地域。東京などの都市圏はもちろん、中山間地域においても、住人はいつも地震に備えておかなければ、自分や家族の生命、財産は守れません。
そこで、日本の防災の権威、目黒教授がご指南。連載第19回目は「公助って、国に任せておけばいいのですか?」。
目黒教授 そういうわけにはいきません。公助は、国・都道府県・市町村などの行政が公金を使って災害対策を講じること。具体的には、防波堤や防潮堤などの災害対策用のインフラ整備や、災害に強い上下水道システムや交通システムの整備などが、事後の様々な公的支援などがそれにあたります。しかし、少子高齢化や人口減少による税収の減少による財政的な制約と、昨今の災害の巨大化・頻発化の傾向を考えると、従来型の公助主導による対策の推進は今後不可能です。
では、どうすればいいのか? 公助の不足分を自助と共助で補うことが求められます。これからの公助は、公金による行政主導の公助ではなく、個人や法人が災害対策に積極的に取り組みたいと考え実際に推進していく環境整備にシフトしていくべきです。これが“新しい公助”です。(次回に続く)
●目黒公郎プロフィール
東京大学大学院情報学環長・教授。専門は総合災害管理、国際防災戦略。内閣府本府参与、多数の省庁の防災委員、日本地震工学会、地域安全学会、日本自然災害学会などの会長を歴任。防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。
●目黒教授のラジオ連載「みんなのサンデー防災」は、各種の災害がもたらす被害の最小化と、災害時を被災地地域の課題を解決する機会として活用し、発災以前よりもいい地域に改善するために必聴の番組。毎週日曜14時〜全国コミュニティFMで放送中。詳しくは「みんなのサンデー防災」で検索してみてください。
