
日本全国地震列島。日本は、いつどこで地震が起こるか分からない地域。東京などの都市圏はもちろん、中山間地域においても、住人はいつも地震に備えておかなければ、自分や家族の生命、財産は守れません。
そこで、日本の防災の権威、目黒教授がご指南。連載第16回目は「災害イマジネーションってなんですか?」。
目黒教授 災害に限らず、私たち人間は自分が想像できないことに対して、事前に備えたり、上手く対応したりといったことはできません。会社の社長が将来その会社が直面する状況に関して想像できなければ、うまく会社を経営できないことと同じです。
我々はもうすでに、何がインプット・システム・アウトプットの関係から構成される災害のメカニズムを学びました。システムが自分たちの地域の社会環境特性と自然環境特性に加え、季節や曜日、発災時刻などの時間的な要因から構成され、これによって同じインプット(ハザード)でも、アウトプットとしての被害や災害の規模や様相が大きく変わることも学びました。
これらを踏まえたうえで、ハザードに襲われてからの時間経過とともに「自分の周りで何が起こるのかを、具体的に、かつ正確に想像できるかどうか」が、災害の理解と効率的な対策を実現する上でとても重要になるのです。この災害状況を正しく想像する力を「災害イマジネーション」といいます。(次回に続く)
●目黒公郎プロフィール
東京大学大学院情報学環長・教授。専門は総合災害管理、国際防災戦略。内閣府本府参与、多数の省庁の防災委員、日本地震工学会、地域安全学会、日本自然災害学会などの会長を歴任。防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。
●目黒教授のラジオ連載「みんなのサンデー防災」は、各種の災害がもたらす被害の最小化と、災害時を被災地地域の課題を解決する機会として活用し、発災以前よりもいい地域に改善するために必聴の番組。毎週日曜14時〜全国コミュニティFMで放送中。詳しくは「みんなのサンデー防災」で検索してみてください。
