
行政のデジタル変革と取組成果についてご報告します。マイナポータルの利活用拡大により、引越しやパスポート、子育て、介護など多くの行政手続きが24時間いつでもどこでもオンラインで行えるようになりました。確定申告については、マイナポータル経由でデータを一括取得してe-Taxへ自動入力が可能になったことで、従来数時間かかっていた作業が短時間で完了できるようになっています。マイナンバーカードは「持つ」から「使う」へと役割が進化しており、国民の約8割が保有する状況の中、カードやスマホだけで日常の様々なシーンを便利かつ安全に利用できる環境を整備しています。
健康保険証と一体化した「マイナ保険証」は2021年10月から利用が始まり、運転免許証と一体化した「マイナ免許証」は2025年3月の利用開始を迎えています。スマートフォンで本人確認が完結する「デジタル認証アプリ」も2024年6月にリリースされました。救急現場ではマイナ保険証を活用した医療情報閲覧が可能となり、「マイナ救急」の全国展開は2025年10月から全国の消防本部で一斉開始されます。高額療養費制度でもマイナンバーカードを健康保険証として利用することで、窓口での自己負担限度額超過分の支払いが不要となる仕組みが進んでいます。災害時の避難所運営では業務の約90%削減が実現するなど、もしもの時の安心サポートも拡充しています。
マイナポータルは2024年3月に全面リニューアルされ、出生届のオンライン提出と新生児のマイナンバーカード交付申請の同時実施が可能になりました。デジタル推進委員によるデジタルに不慣れな利用者へのサポート体制も強化されています。制度面では、政府がアナログ規制の点検・見直しを進め、8,162条項のうち7,983条項の見直しが完了し見直し率は97.8%に達しました。自治体向けの見直し支援や「アナログ規制点検ツール」により、自律的な改革を促進しています。
技術面ではテクノロジーマップ・技術カタログの掲載件数を拡大し、2025年7月時点で226件が掲載されています。ドローンによる現場点検や経年劣化・故障予測AIの実装事例が監査や維持管理の効化に貢献しています。事業者向け認証基盤「GビズID」は普及が進み、2025年3月末時点で累計発行アカウントは124万件、接続サービス数は217に達しました。行政手続全般を支える「e-Gov」の共通機能提供や補助金申請プラットフォーム「Jグランツ」の機能強化、政府電子調達システム(GEPS)によるオンラインでの入札・契約・請求等の支援も進められています。
暮らしを支える準公共領域でも進展が見られます。自治体と医療機関をつなぐ情報連携基盤「Public Medical Hub(PMH)」は2025年度までに累計約600自治体の導入が予定され、標準型電子カルテα版の整備も進行中です。防災分野では「災害派遣デジタル支援チーム(D-CERT)」を創設し、教育分野では「教育DXロードマップ」の改定と実装を進めています。交通・移動分野では「モビリティ・ロードマップ2025」に基づく取り組みを推進し、2025年度から2026年度にかけての実装が見込まれます。新しい地方経済・生活環境創生交付金を活用したデータで地域と事業をつなぐ取り組みや、都道府県でのデータ連携基盤の共同利用状況の拡大も進んでいます。
行政内部の基盤整備やAI活用も加速しています。GSS(Government Solution Service)は導入府省庁が拡大し、2025年7月時点で導入府省庁14機関、接続ユーザー4.5万人となっています。ガバメントクラウドは2025年7月末時点で4,892システムが利用中です。生成AIの調達・利活用に関するガイドラインは2025年5月に策定され、デジタル庁での内製開発による生成AI利用環境は利用者950名、利用回数延べ65,000回に達しています。国・地方・官民連携の取り組みでは、AIアイデアソン・ハッカソンや「デジタル改革共創プラットフォーム」への参加が拡大し、1,479の地方公共団体、約11,500人が参加しています。オープンデータの利活用は2025年8月時点で88%、1,564団体が利活用しており、政策データダッシュボードの拡充や「Japan Dashboard」の公開により政策の進捗や効果が可視化されています。
詳しくは「デジタル庁」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松
