2025年12月2日、従来の健康保険証は完全に廃止され、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への移行が完了します。これにより、全国民が一元的なデジタルID基盤を活用する時代が到来し、行政サービスのデジタルトランスフォーメーション（DX）が加速します。
マイナ保険証の概要と利便性
マイナ保険証は、マイナンバーカードに健康保険証の機能を統合したもので、医療機関や薬局での受付時に顔認証付きカードリーダーを使用して本人確認を行います。これにより、迅速かつ正確な資格確認が可能となり、医療の質向上や業務効率化が期待されています 。また、マイナポータルを通じて、個人の医療情報（受診歴、処方歴、特定健診結果など）を閲覧できるようになり、自己管理や医療の選択肢が広がります 。
移行スケジュールと現場の対応
2024年12月2日からは、従来の健康保険証の新規発行が停止され、マイナ保険証への移行が本格化しました。医療機関や薬局では、顔認証付きカードリーダーの導入が進められており、厚生労働省は補助金制度を設けて、導入支援を行っています 。一方で、マイナンバーカードを取得していない、または健康保険証の利用登録をしていない方には、「資格確認書」が交付されます。これは、マイナ保険証が利用できない場合の代替手段として、医療機関での受診時に提示することで保険診療を受けることができます 。
データ統合とID基盤の課題
マイナ保険証の普及により、医療情報のデータベース化が進みますが、個人情報の保護やデータ連携のセキュリティ確保が重要な課題となります。政府は、個人情報保護法や関連法令の整備を進めるとともに、医療機関や保険者との連携強化を図っています。また、マイナポータルの利用促進や、医療機関でのシステム対応の遅れが指摘されており、現場でのスムーズな移行に向けた支援が求められています。
今後の展望とDXの進化
マイナ保険証の完全移行は、行政サービスのDXの一環として位置づけられています。今後は、医療分野だけでなく、福祉や介護、年金などの分野にもマイナンバーカードを活用したサービスが拡大される予定です。これにより、国民一人ひとりの生活に密着したデジタルサービスの提供が進み、行政手続きの効率化や利便性の向上が期待されます。
しかし、デジタル格差や高齢者のITリテラシーの問題も依然として存在しており、全ての国民が平等にサービスを享受できるよう、さらなる支援策や教育が必要です。このように、マイナ保険証の完全移行は、行政サービスのデジタル化を加速させる重要なステップとなります。今後の展開に注目が集まります。
