
政府が推進する「マイナ保険証」。マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、医療の効率化や利便性向上が期待されています。本記事では、利用のメリットと今後の機能拡充について整理します。
マイナ保険証の主なメリット
医療機関窓口での負担軽減
公的医療保険では、高額療養費制度により所得に応じた自己負担額の上限が設けられています。従来は立替払いをした後に払い戻しを受ける必要がありましたが、マイナ保険証を利用すれば、窓口で自己負担の上限額を直接計算でき、立替払いが不要になります。
医療情報・薬剤情報の共有
診療情報や薬剤情報、特定健診の結果などを医師や薬剤師に正確に伝えることが可能です。院内処方薬も含めて共有できるため、従来のお薬手帳では把握しきれなかった情報を活用できます。電子処方箋を導入している薬局では、重複投薬や併用禁忌をシステム的にチェックでき、より安全な処方が実現します。2024年度中には、全国のほとんどの薬局で電子処方箋の導入が予定されています。
救急時での活用
救急搬送の際にマイナ保険証を提示することで、救急隊が診療情報や薬剤情報を迅速かつ正確に把握できます。これにより、搬送先の選定や応急処置の適切化が可能になり、受け入れ先の医療機関も事前に準備を進められます。
安全な本人確認の仕組み
利用時には顔認証や暗証番号による本人確認を行い、ICチップで認証します。ICチップの偽造は極めて困難であり、安心・安全な利用を可能にします。
今後予定されている機能拡充
電子カルテ情報の共有
生活習慣病関連の検査結果やアレルギー情報、過去の病名なども共有対象に含める予定です。2025年から全国約10カ所でモデル事業を開始し、その成果を踏まえて対象を拡大します。
医療費助成の受給者証の一体化
難病患者や小児医療などの医療費助成受給者証をマイナンバーカードに統合。2024年度中に22都道府県・161市町村を含む約183自治体で取り組みが始まります。
診察券の一体化
マイナンバーカードを診察券として利用可能にする仕組みも導入。一部医療機関ではすでに利用が始まっており、システム改修が進むにつれて拡大していきます。
予防接種や母子保健との連携
予防接種や乳幼児健診・妊婦健診の際、マイナポータルから事前に問診票を記入でき、マイナンバーカードで受診が可能になります。接種履歴や健診結果もスマートフォンで確認できます。すでに一部自治体で先行導入が始まっています。
マイナ保険証は、利便性の向上だけでなく、安全で効率的な医療の実現を支える基盤として期待されています。今後の拡充によって、医療現場と患者双方にとって、より大きな価値を生み出す存在となりそうです。
詳しくは「デジタル庁」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松
