
前後の日は震え上がるような寒さだったというのに、その日は暖かな晴天に恵まれた。13日、神戸市北区の中里グラウンドで神栄グループによるスポーツ・プロジェクトとして、亜大野球部OBによる野球教室が開催された。ソフトバンクからFAの東浜、DeNA山崎、阪神高橋、オリックス頓宮らが参加。兵庫県内の野球少年、少女約350人と野球を楽しんだ。
技術指導以外にも、さまざまな企画がある。東浜、山崎、高橋、巨人平内らユニホーム姿の投手陣が、マウンドから投球。頓宮らも打席に立ち、決めゼリフ「ほいさー!」のかけ声が子どもたちからあがった。約4時間の教室の締めくくりは、大抽選会。レプリカユニホームや参加選手のサイン入りの野球道具が土産に、夕闇迫るグラウンドから子どもたちは帰っていった。
野球教室を運営する亜大の生田勉前監督は常々、野球人口が減っていくことへの危機感を訴える。教室の開会に先立ち「野球って楽しいんだっていうことを子どもたちに伝えてほしい。疑問、質問には丁寧に答えてあげてほしい。そういう記憶は一生のものとして残るから」と、教え子に伝えていた。恩師の意を受け、高橋は「みんなにとって忘れられない1日になってほしいんで」と熱のこもった指導を続けた。巨人女子チームから、米女子野球のプロリーグWPBLのドラフト会議でロサンゼルスの指名を受けた島野愛友利投手(21)と対戦も。気合を入れて打ち取りにいった球をフェンス直撃の長打にされてぼう然。真剣勝負がまた、子どもたちを楽しませた。
亜大の野球教室は代々、引き継がれてきた。頓宮は「今までは松田(宣浩)さんが(最年長で)やってくださっていましたが、今年は東浜さんが来られている。後輩はそういう姿を見て続いていっています」と太いつながりを明かした。生田元監督が23年春季リーグ戦後に退任。教え子がもう増えることがないことを危惧していた。だが大学の枠を超え、かつて亜大グラウンドで自主トレをしていた縁などでDeNA宮崎、佐野らが参加。新たな顔ぶれを加え、伝統は続いていく。【堀まどか】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)
