
<J3・JFL入れ替え戦:沼津1-1レイラック滋賀>◇14日◇第2戦◇沼津・愛鷹広域公園多目的競技場
沼津は1-1でレイラック滋賀と引き分け、2戦合計3-4で敗れ、クラブ史上初のJFL降格が決まった。J3残留へは勝利が絶対条件だったホーム戦の前半22分に失点。直後にFW白輪地敬大(23)のゴールで追いつくも、追加点が奪えなかった。9月の監督交代でもチーム状況は上向かず、J3でも最下位に低迷。最後まで一枚岩になれないまま、9シーズン死守してきたJクラブの座から陥落した。
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クラブの命運が懸かっていた一戦の結末は、あまりにもあっけなかった。1-1の後半38分に途中出場のMF柳町魁耀(23)が1発退場。同追加タイムにもGKジローンゲギム(21)が退場した。ピッチに残っていたのは9人。相手よりも2人少ない劣勢で追加点を奪える余力はなかった。無念のドロー。J3初昇格に沸く「勝者」と、屈辱のJFL降格となった「敗者」のコントラストは鮮明に分かれた。
試合後の会見で鈴木秀人監督(51)は「自分の力不足でこのような結果を招いてしまったことは大変申し訳なく思っています」と謝罪した。同点で迎えた後半16分には元日本代表FW川又堅碁(36)を投入。パワープレー要員のベテランを早めに送り出したが、指揮官の狙いもはまらなかった。効果的なクロスが入らず、終盤に2人が退場。勝負弱さと、歯車がかみ合わない今季を象徴する試合内容で力尽きた。
J3初参戦の17年から在籍する主将のMF菅井拓也(34)は「歴代の選手が積み上げてきた気持ちを知っていたからこそ、(J3に)残さなければいけなかった」と声を詰まらせた。今季はリーグ序盤から低迷し、9月に中山雅史前監督(58)を成績不振で解任。監督交代の「劇薬」も、空中分解しかけていたチームの特効薬にはならなかった。 夏場の紅白戦では控え組が無気力の状態で調整することもあった。在籍年数が長い選手の言動が響かず、最後まで一枚岩になれなかった。高島雄大社長は「サポーターを笑顔にするために前を向いてやっていく」と話したが、鈴木監督の去就を含めた今後の体制維持は不透明。責任の所在も曖昧なままだ。
9年間戦ってきたJリーグの舞台から去ることになる。来季はJFL。菅井は「ふがいないし、情けない」と何度も頭を下げた。来季以降はスポンサー離れも危惧されており、最短でのJ3復帰は容易ではない。東部勢初のJクラブとして死守してきたプライドは地に落ちたまま、厳冬を迎える。【神谷亮磨】
