日本電気株式会社は、歩行中でも手ぶらで立ち止まらずに本人確認できるウォークスルー型の顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を世界で初めて開発しました。世界No.1の認証精度実績を持つ顔認証と虹彩認証を組み合わせ、屋内外を問わず高精度かつ高速に認証できるのが特長です。従来主流のカード提示やパスワード入力を伴う二要素プロセスで生じていた混雑や、紛失・盗難・失念のリスクを低減し、利用者と施設双方の利便性と安全性を高めます。NECは2026年度中に実証実験を行い、2027年度の実用化を目指す計画で、国境審査や空港、金融、決済など厳格な本人確認が求められるシーンへの適用を想定しています。
世界最高水準の顔・虹彩を融合 大規模登録でも歩行中に瞬時識別
本技術は、米国国立標準技術研究所のベンチマークで複数回No.1を獲得した顔認証と、同じく第1位評価の虹彩認証を組み合わせ、単一方式を上回る精度を実現します。1億人以上の登録から歩いている利用者を瞬時に特定でき、厳格な本人確認が可能です。想定歩行速度は時速6キロで、立ち止まる必要がありません。施設側はスループット向上により待ち行列を緩和でき、ピーク時のオペレーション負荷やリスクを抑制できます。導入に向けた実務として、既存のカードや暗証入力からの段階的移行計画、識別ログの保持やアクセス権限の整理、監査要件に沿った記録設計を準備するとスムーズです。
基盤モデル学習で悪条件に強い 3メートル先から自然歩行のまま認証
NEC独自の自己教師による基盤モデル学習を虹彩認証に適用し、移動によるブレ、よそ見、眼鏡の有無などの悪条件下でも生体特徴を正確に捉えます。装置前で覗き込む必要はなく、3メートル離れた位置から自然な歩行のまま認証が完了します。装置前の滞留を抑えられるため、導線設計の自由度が高まります。実装時は、逆光や暗所、屋外など変動の大きい環境を想定しつつ、認証不可時のリトライ経路やオペレーター呼び出し手順を明確化し、通過体験の安定化を図ることが有効です。利用者向けには、自然歩行を促すサイン整備や事前告知で運用定着を支援できます。
小型構成で多環境に柔軟対応 既存ゲートへ工事最小で組み込み
導入機材は小型カメラ、赤外線ライト、処理用プロセッサー、結果表示ディスプレイの最小構成で済みます。屋外、逆光、暗所、遮光で陰影が出る環境でも高い精度を維持でき、既存の入口やゲートへ大掛かりな工事なしで組み込み可能です。プロジェクト計画では、電源とネットワーク配線、設置高さと視野角の標準化、人流密度に応じたユニット数の算定がポイントです。保守運用では、光学部の清掃ルーチン、稼働監視、AIモデル更新の手順を定義し、精度維持とセキュリティ更新を両立させましょう。
実用化ロードマップとDXの位置づけ 活用領域の拡大へ
NECは2026年度中の実証、2027年度の実用化を目指し、国境審査、空港、金融、決済などへの活用を進めます。NECはDXをビジネスモデル、テクノロジー、組織・人材の3軸でEnd to Endに提供しており、生体認証は価値創造モデル「BluStellar」のコアテクノロジーの一つと位置づけています。導入組織は、同意取得やプライバシー保護、ログ管理などのポリシー整備を先行し、段階的なパイロットとKPIで効果を検証するのが実務的です。なお、NIST評価は特定の製品や企業を推奨するものではないため、第三者評価の事実として透明性高く活用するとよいでしょう。
詳しくは「日本電気株式会社」の公式ページまで。
