
NECは、社員の業務から暗黙知を自動抽出し、組織全体で共有可能な「組織資産」として蓄積するエージェント技術「cotomi Act」と、ソフトウェア、コンサルティング、運用保守を組み合わせたソリューションを2026年1月から提供開始します。本ソリューションは、教え込みやマニュアル整備を前提とせず、経費精算や受発注、審査など判断や対応が伴うデジタル業務を継続的に自動化します。複雑化する業務の中で個人に滞留しがちなノウハウの共有と標準化を進め、生産性向上を阻む属人化の解消を狙います。RPAなど従来ツールの設計運用コストやルール差異への対応限界といった課題に対し、エージェントが臨機応変に処理するアプローチで突破口を提供します。NECはAIガバナンスに基づく安全な運用設計も含め、現場と管理の両立を支援します。
本ソリューションの中核である「cotomi Act」は、Web業務の難易度が高いとされる国際ベンチマーク「WebArena」で人間を上回るタスク成功率を実現したエージェント技術です。ページ遷移やフォーム入力、状態変更などの複雑な操作を長い思考を伴って実行し、曖昧な指示にも目的に即して対応します。社員のブラウザ閲覧履歴や操作ログから業務ノウハウを自動抽出し、組織資産として蓄積するため、普段の業務を続けるだけで学習が進みます。蓄積資産はエージェントが必要知識として正確に参照し、業務を自律的に実行します。これにより、テキスト化しにくい手順や例外対応も含めて継続的に自動化のカバレッジを拡大できます。導入初期の定義作業を抑えつつ、運用とともに賢くなる点が特徴です。
安全性と品質確保の観点では、NECが整備してきたAIガバナンス基本規定やAIリスク管理マニュアルの知見を活用し、企業ルールとポリシーに沿ったエージェント動作設定と運用を提供します。企業固有のフローや承認階層、分掌などを反映できるため、既存統制と矛盾なく定着できます。反復作業の均質化によりムラを減らし、業務品質の底上げと属人化防止に寄与します。RPAで課題となりやすいシナリオ保守の負荷についても、ノウハウの自動学習により維持コストの抑制が期待できます。監査対応では、行動ログを資産として扱う設計が追跡性の確保に貢献し、標準化とコンプライアンスの両立を後押しします。継続運用に耐えるセキュアな自律エージェントの実装がポイントです。
実務導入の進め方としては、まず自動化適性が高いデジタル業務から着手し、経費精算、受発注、審査など判断を伴う標準フローでパイロットを開始することが有効です。次に、ブラウザ操作ログと閲覧履歴の収集範囲、保存期間、マスキング方針を明確にし、個人情報と機密情報の取り扱いをガバナンスに組み込みます。あわせて、例外時の人手介入条件とエスカレーション手順、ロールバック基準を事前に定義してください。効果検証では、処理時間削減率、タスク成功率、例外率、一次応答までの時間、再作業件数、教育時間削減といったKPIを設定し、段階拡大の判断に活用します。運用開始後は、蓄積された組織資産の重複排除とバージョン管理を行い、変化する規程をタイムリーに反映させる体制が重要です。
NECは、価値創造モデル「BluStellar」のもと、業種横断の知見と最先端テクノロジーでビジネスモデル変革を支援しています。AI領域では、NEC開発のAIコア技術「cotomi」を中核にサービスを展開し、セキュアで安心なAIの提供に取り組んでいます。今回の新ソリューションは、現場に眠る暗黙知をデータ化して組織資産に昇華し、デジタル業務の継続的自動化を実現するものです。複雑化する業務と人材不足のなかで、固定化された手順に縛られない自律エージェントの活用は、企業の生産性向上と変化適応力の強化に直結します。2026年1月の提供開始に向け、各社の業務変革を具体的に後押しする基盤として期待されます。
詳しくは「日本電気株式会社(NEC)」の公式ページまで。
