NECが開発した「cotomi Act」は、ブラウザ上の操作履歴から暗黙知を自動で形式知化し、AIエージェントがWeb業務を自律実行。国際ベチマークWebArenaで80.4％の成功率を出し、人間（78.2％）を上回りました。現場ノウハウをそのまま活かす新たなDXです。
ブラウザ行動を「知識」に変える仕組み
NECの「cotomi Act」は、業務のデジタル接点であるWebブラウザ上の操作履歴やログを起点に、従来は抽出が難しかった個人や組織の暗黙知を自動的に取り出し、意味や背景まで理解した上で形式知化する技術です。これにより、専門家への長時間のヒアリングや属人的なノウハウの口伝えに頼らず、現場に蓄積された直感や手順をデータとして収集できます。データ化された暗黙知は、NECが開発した生成AI「cotomi」などで分析され、エージェントの意思決定や手続き選択に活用されます。ユーザーの曖昧な指示に対しても、膨大な暗黙知から適切な知見を見つけ出し、必要な情報検索や操作を自律的に行うことが可能です。こうしてエージェントは何度も確認しなくても業務コンテキストを理解し、複雑かつ専門的なWebタスクを高精度で遂行します。
実際にcotomi Actを組み込んだWebブラウザ拡張のAIエージェントは、Web上のEC、掲示板、コラボ開発、コンテンツ管理、地図検索など実際のインターネット利用に近い条件で評価する国際ベンチマーク「WebArena」において、世界で初めて人間のタスク成功率78.2％を上回る80.4％を記録しました。これまでの一般的なAIエージェントが40～70％台にとどまっていたのに対し、cotomi Actは長い思考や複雑なページ遷移、状態変化を伴う業務でも高い成功率を実現しています。NECは自社を「クライアントゼロ」とする方針で社内DXを推進中で、まずはグループ内で実証を展開し、検証を重ねながら2026年度中のサービス提供を目指しています。本技術は、少子高齢化や労働人口減少が進む中、企業や組織の生産性向上と業務改革に直結する可能性を持っています。
詳しくは「日本電気株式会社」の公式ページまで。
レポート／DXマガジン編集部 權
