NTTドコモとNTTファシリティーズは2025年11月14日から、対話型AIエージェントでBIMを自然語操作する共同実験を開始します。専門知識なしで膨大な建物情報をチャットで引き出せるかを検証し、施設管理のDXを前進させる狙いです。
対話型AIでBIMを「話して使う」施設管理へ
NTTドコモとNTTファシリティーズは、ドコモが独自に開発した対話型AIエージェント技術を、NTTファシリティーズが管理する既存建物のBIMデータで実運用に近い形で検証します。本実験は、専門ソフトや高度なBIM知識がない現場担当者でも、自然言語でBIMデータを検索・参照・活用できるかを評価することを目的としています。技術面では、膨大で複雑なBIM情報をAIが理解しやすいナレッジグラフ形式に整理する「グラフRAG」を採用し、これに基づく検索拡張生成でLLMが的確な情報を抽出します。また、ユーザー意図の解釈やナレッジグラフの探索、回答生成などを役割分担する「マルチエージェント」により、曖昧な問いにも高精度で応答する仕組みを組み合わせています。
期待される効果としては、設備点検情報の取得や改修計画の根拠提示、利用者やオーナー向け説明の簡便化など、設計者以外の現場担当者がBIMを実務で活用しやすくなる点が挙げられます。両社は本実験から得られる知見を基に技術を高度化し、建物ライフサイクル全体のDX促進を目指すとしています。なお、本技術はNTT R&D FORUM 2025（11月19〜21日、11月25〜26日）でデモ展示され、来場者は建物との対話体験や施設管理への応用を想定したロールプレイを体験できます。今回の取り組みは、BIMの利用環境を「専用ツールで操作する」段階から「自然に対話して使う」段階へ移行させる試みと位置づけられます。
詳しくは「NTTドコモ」の公式ページまで。
レポート／DXマガジン編集部 權
