
株式会社Synergy Careerによる調査で、就活生の67.5%が「学歴フィルターはある」と認識し、41.2%が実際に影響を感じた経験があることが分かりました。本調査は26卒・27卒の就活生を対象に、2025年11月12日から11月17日にかけてインターネット上で実施し、有効回答数は194人です。学歴以外で評価してほしい要素としては「人柄」が最多で、続いて「努力」「部活・サークル経験」が上位に挙がりました。約半数の48.5%は選考対策次第で学歴フィルターを突破できると回答しており、就活生の間に前向きな姿勢がある一方で、限界を感じる層も23.7%存在します。企業の採用担当者は、候補者体験の透明性と、人物評価の具体化を急ぐ必要があると言えます。
まず、学歴フィルターの存在認知が高いという事実は、学生側の心理的な不安の源泉になっています。非常にあると思うが23.7%、ややあると思うが43.8%で、否定派は13.9%にとどまりました。就活過程で非常に感じたが14.4%、やや感じたが26.8%という実感値も無視できません。これらは「出身大学で面接機会が狭まるのでは」という見えにくい懸念を示しており、企業は説明責任を果たす工夫が求められます。具体的には、応募受付ポリシーや選考評価項目の公開、学歴以外の評価基準の明文化と面接官トレーニングの徹底が有効です。候補者から見て納得感のあるプロセスに転換できれば、母集団の多様性も高まります。
次に、学生が評価を望むのは「人柄」が最多で83人、続いて「努力」53人、「部活・サークル経験」49人でした。これは内面やプロセス、協働経験への評価期待を示します。企業は、構造化面接で行動事例を引き出す質問設計にし、リーダー経験だけでなく、役割遂行、困難克服、チームへの貢献などを多面的に問うべきです。エントリーシートでは、学業以外の取り組みを定量的に記述できるフォーマットを用意し、選考フローにグループワークや職務シミュレーションを組み込むと、人物の再現性ある評価につながります。採点基準も事前に開示しておくと、学生の準備の質が上がり、機会の公平性が高まります。
一方で、48.5%が選考対策で突破可能と回答し、23.7%は限界を感じています。 企業は「対策で伸ばせる余地」を提示するため、面接の評価観点やフィードバックの提供、候補者向けの職種理解セミナーを整備するとよいでしょう。 学生にとっては、自己分析の言語化、ガクチカの因果整理、模擬面接を通じた行動事例の深掘りが実効的です。 加えて、インターンやアルバイトでの職務類似経験を棚卸しし、成果よりも学びのプロセスと再現性を具体的に示すことが突破口になります。 感じた不公平感を戦略的な準備に変換する支援が、大学やキャリアセンターにも求められます。
調査では、就活を経て大学選びを後悔した割合が29.9%、後悔していないが39.7%でした。進路選択の影響は小さくない一方、入学後の行動で差分を埋められる余地も示唆しています。企業側は新卒一括採用のなかで、大学名に依存せず、課外活動や学内プロジェクト、アルバイトでの仮説検証経験を評価する枠組みを用意することで、機会の公平性を担保できます。応募者プールの多様化は採用の適合率を高め、入社後活躍の幅を広げます。
今回の結果は、学歴フィルターの実在を断定するものではありませんが、学生の体感として強い懸念が広がっていることを示しています。採用の透明性向上、人物評価の精緻化、候補者への情報提供を通じて、企業は信頼を獲得できます。学生は戦略的な選考対策を通じて、内面と行動のプロセスを言語化し、自らの価値を伝える準備を進めることが重要です。両者の歩み寄りが、公平で納得感のある採用市場の形成につながります。
詳しくは「株式会社Synergy Career」の公式ページまで。
