日立製作所は、製造業向けのデジタルトランスフォーメーション（DX）ソリューションを強化し、グローバル展開を加速しています。同社の「Lumada（ルマーダ）」プラットフォームを中心に、AI、IoT、クラウドなどの先進技術を組み合わせ、製造業の生産性向上や品質改善、サプライチェーンの最適化などを支援しています。
米国での新工場設立とAI活用
2025年9月、日立は米国バージニア州サウスボストンに新たな製造拠点を設立することを発表しました。この工場は、Hitachi Energyの既存キャンパスに隣接して建設され、米国内で最大の大型電力変圧器の製造拠点となる予定です。この施設は、AIとスマート製造を活用したLumadaを導入し、デジタル技術を駆使した製造プロセスの最適化を図っています。工場内には、デジタル顧客体験センターも併設され、世界中の顧客に対してデジタルモビリティソリューションの事例を紹介しています。この施設の設立により、約460人の直接雇用が創出され、地域経済に年間約3億5,000万ドルの経済効果をもたらすと見込まれています。
ASEAN地域でのサプライチェーン強化
また、日立はASEAN地域においてもDXソリューションを提供し、サプライチェーンの強化に貢献しています。新型コロナウイルスの影響でサプライチェーンが混乱する中、日立の「Digital Supply Chain」ツールは、製造現場から収集したデータを分析し、生産プロセスの可視化と最適化を支援しています。これにより、企業は生産性の向上とコスト削減を実現しています。
さらに、物流分野では、「Hitachi Digital Solution for Logistics/Delivery Optimisation Service」を活用し、交通渋滞や倉庫の配置、配送先などのデータを分析して、効率的なルート設計を行っています。これにより、配送距離の短縮と納期の短縮が可能となり、業務効率の向上とコスト削減が実現されています。
次世代プラットフォームの開発
日立は、製造業向けの次世代プラットフォームの開発にも取り組んでいます。同社のグループ会社である日立ハイテクは、半導体製造装置のデータを統合・分析するプラットフォームの開発を進めています。従来、各機器メーカーのプラットフォームは閉じられており、データの統合が困難でしたが、日立ハイテクは他社製機器のデータも統合できる柔軟でスケーラブルなプラットフォームの構築を目指しています。
日立は、今後も製造業向けのDXソリューションを強化し、グローバル展開を加速していく方針です。データとAIを活用することで、製造業の生産性向上や品質改善、サプライチェーンの最適化などを実現し、持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。
