
富士通と日本IBMが、AI・ハイブリッドクラウド・ヘルスケアの「3領域」で協業検討を開始しました。業務特化の日本語強化LLMやデータセンター連携、医療データの相互利用など、テクノロジーと知見を組み合わせて2025年内の合意書締結を目指す大型プロジェクトです。これは日本の社会課題解決に直結する動きとして注目されます。
3領域で描く協業の中身
富士通と日本IBMは、日本が抱える社会課題の解決を目的に、両社のテクノロジーと知見を組み合わせた協業検討を発表しました。検討対象は「企業向けAI」「ハイブリッドクラウド」「ヘルスケア」の3域です。両社は共通のパーパスとして「テクノロジーを通じて社会をより良く、持続可能にする」という価値観を掲げ、協議を進める方針を示しています。正式な契約締結を前提とし、関連法令・規制への適合を条件に段階的に進められる点が強調されています。
企業向けAIにおいては、業務知見と日本語強化大規模言語モデル(LLM)、横断的なAIガバナンスやAIオーケストレーションといったアセットを持ち寄り、業種・業務特化型AIの共同開発と統合AI基盤の構築を検討します。狙いは企業の生産性向上と競争優位性の確立です。具体的には業務特化のモデル開発と、それを支える統合基盤の設計・運用に向けた協業の可能性を探ります。日本語対応や業務知見の融合が実用化の鍵となる、という点が示されています。
ハイブリッドクラウド分野では、汎用および業種・業務に特化したクラウド環境やその高度化手法を持ち寄り、国内関連法令および規制に適合したシステム環境構築を目指します。検討内容にはデータセンターにおける連携や自動化(オートメーション)、FinOpsの適用拡大が含まれます。また、現行システムのモダナイゼーションに伴うハイブリッドクラウド環境への移行作業についても協議を開始する点が明記されています。ここでは運用効率とコスト最適化の両立が重視されます。
ヘルスケア領域では、持続的な医療体制やドラッグロスといった課題に対し、AIを用いた医療データの利活用が検討されます。両社は医療データ主体の権利保護と法令順守を前提に、各社が保有する医療データプラットフォームの相互連携を検討します。さらに、当該プラットフォームを活用したAIサービスに関する共同検討も開始します。ポイントはデータガバナンスと法令順守を担保した上で、社会実装へつなげる実務的なアプローチを取る点です。
両社はこれらの検を通じて、テクノロジーと実務知見の融合により社会システムの革新に寄与することを目指します。2025年内の合意書締結を目標に、各領域での協議を進める計画です。なお、本件は両社間の正式な契約締結を条件とし、順次進められる予定であると明示されています。
詳しくは「富士通株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
