
一般社団法人自治体DX推進協議会が公表した「令和5年度 第一回 自治体DX意識・実態調査」によりますと、回答481自治体のうち89自治体、約18.5%が交通分野におけるDX取り組みを進めていることが判明しました。取り組み内容としては、AI運行バスの導入やバスロケーションシステムの整備、ICカードやキャッシュレス決済システムの導入、デマンド交通の導入とそのオンライン申請の実施、地域公共交通ネットワークの運行情報をオープンデータ化する動きなどが挙げられています。これらは公共交通の利便性向上や運行管理の効率化、地域の移動課題解決を目的とした施策として自治体で検討・実施されています。

自治体が交通DXを推進する主な理由としては、公共交通の利用者ニーズへの対応、導入に向けた予算の確保、首長の強いリーダーシップ、そして地域が直面する重要課題への対応が挙げられています。一方で、進展が見られない自治体は約80.7%に上り、その要因としては主要利用者が高齢者であることに伴う住民側のデジタルリテラシー不足、サービス提供者側のデジタル対応力の不足、デマンド交通等は導入されているもののデジタル化の見通しが立っていない点、地域事業者との費用対効果の折り合いがつかないこと、事業者間での調整が難しいことなどが報告されています。さらに運転手不足などにより公共交通そのものの維持が困難なケースもあり、DXの導入が即座に解決策につながらない現実も示されています。
調査では、電車やバスなどの公共交通が不十分な地域や高齢者が多い地域においては交通分野のDXが特に有益であるとされていますが、利用者のデジタルリテラシーが障壁となることがしばしば指摘されています。また、導入・運用のコストや事業者との調整に関する困難さ、制度・法令上の不確実性や情報取得の負担といった要因も導入のハードルになっていると報告されています。こうした背景を踏まえ、自治体DX推進協議会は交通分野におけるDX推進が地域社会に重要な役割を果たすと位置づけ、さらなる支援と取り組みを進める方針を示しています。
詳しくは「一般社団法人自治体DX推進協議会」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松
