
2025年11月26日、足利市と株式会社NEXT DELIVERYが協働し、災害時の物資輸送に向けた検証フライトを公開しました。DID(人口集中地区)上空を含む「レベル3.5」飛行での全国2例目の試みとして、AirTruckを使った3ルートの実運用検証が行われています。なぜ今、自治体と民間がこの一手を進めるのかを読み解きます。
検証フライトの概要と狙い
2025年11月26日に実施された検証フライトは、足利市と株式会社NEXT DELIVERYの協働によるもので、各ルート1便、合計3フライトで行われました。今回の目的は大規模災害で孤立する恐れがある地域への物資輸送ルートを構築することです。足利市は令和7年度「足利市ドローン飛行ルート構築」としてNEXT DELIVERYに業務委託しており、検証はその一環として実施されています。
3ルートのうち2ルートはDID地区上空を通る設定で、具体的には①北郷小学校〜名草ふるさと交流館、②北郷小学校〜三和公民館、③小俣公民館〜ふるさと学習資料館の区間が対象になりました。DID上空での運航は、今年10月29日に国土交通省航空局が改訂した「レベル3.5」運用に基づくもので、機上カメラを使った歩行者等の確認や操縦ライセンス、保険加入などの要件を満たすことで立入管理措置の緩和を可能にする新しい運航レベルです。
使用機体は物流専用ドローン「AirTruck」で、最大飛行距離20km、最大ペイロード5kgという仕様が報告されています。NEXT DELIVERYは山梨県小菅村からの遠隔運航管理(リモートパイロット業務)を担当し、現地のグランドパイロット業務や機体管理、補助者業務は両毛丸善が担当する三者体制で運航が行われました。両毛丸善は事前にSkyHub®トレーニングセンターのグランドパイロット認定講習を受講済みで、本検証でも現地運用を担っています。
今回の飛行は、11月4日に和歌山市でNEXT DELIVERYが実施したDIDを含むレベル3.5飛行(全国初)に続く全国2例目の試みです。NEXT DELIVERYは2024年の能登半島地震で孤立地域へ処方薬や衛生用品を配送した実績があり、有事の物資輸送としての運用可能性を示してきました。足利市での今回の取り組みは、自治体と民間が連携して災害対応インフラを強化する実践例として注目です。
レベル3.5に基づくDID上空での検証は、自治の災害対応力を高める現実的な前進です。人材育成と運航体制の整備が、社会実装の鍵になります。
詳しくは株式会社NEXT DELIVERYの公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部
