
株式会社学情は、2027年卒学生対象の「就職人気企業ランキング」を発表しました。対象は2027年3月卒業予定の全国の大学3年生、大学院1年生で、有効回答数は15,492件です。総合ランキングのトップは8年連続で伊藤忠商事となり、2001年以降の連続トップ記録を更新しました。エンターテインメント関連では東宝が総合3位にランクインし、女性ランキングでは1位となりました。任天堂は4位、集英社が7位、KADOKAWAが9位に入り、エンターテインメント業界の人気が継続しています。旅行・運輸では、JTBグループが8位へと大きく順位を伸ばし、ANAホールディングスは14位、JALは26位で人気の復調が見られます。金融系は各社が順位を上げる一方、自動車系は「トランプ関税」の影響で総じて下落という結果になりました。
伊藤忠商事が8年連続で総合1位 学生の支持を集める要因が明確化
総合首位は8年連続で伊藤忠商事でした。非資源分野を主力とするなか、システム開発を手掛ける子会社などが伸び、2024年度の純利益で過去最高益を記録した点が紹介されています。アパレルやファミリーマートを軸にした生活消費分野など、一般消費者に近い事業領域が人気の要因となりました。働き方では、午後8時以降の残業を原則禁止する「朝型勤務」や、学生が複数の現場社員から話を聞ける「集団社員訪問」など、就活生に寄り添った取り組みと広報強化が学生の支持につながっています。2001年以降で過去最長の連続トップ記録を更新したことも特筆点です。こうした要素が総合的に作用し、今回も継続して最上位の評価となりました。
東宝が総合3位にランクイン 女性ランキングでは1位 作品のヒットが人気に直結
前回5位の東宝は総合3位に上昇しました。女性ランキングでは1位で、躍進が目立ちます。今年の興行収入ランキングでトップを走る「劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来」や「国宝」など多数の人気作品が挙げられ、2025年度は最高益を見込むとの記載があります。作品面の強さと収益見通しが、学生の支持に結び付いた形です。東宝の順位上昇は、エンターテインメント分野の関心の高さを示す事例といえます。前回からの変動幅も大きく、コンテンツ動向が就職人気に反映されている様子がうかがえます。今回のランキングでは、東宝の存在感がさらに明確となりました。
エンタメ人気は継続 任天堂が4位、集英社7位、KADOKAWA9位 サイバーエージェントも上位に
エンターテインメント業界は全体として人気が継続しています。任天堂は4位で、「ニンテンドースイッチ2」が好調という文脈が紹介されています。出版では集英社が7位に入り、「鬼滅の刃」「呪術廻戦」などの人気コンテンツが背景にあります。KADOKAWAは9位で、ソニーと提携して強化するIP戦略が注目されています。サイバーエージェントは36位で、ゲームや映像制作事業の好調が示されています。強いコンテンツやIPを保有する企業群が上位を維持し、学生からの安定した支持が確認できる結果です。エンタメの広がりがランキング全体のトレンドとして表れています。
旅行・運輸はインバウンド需要で人気復調 JTBグループが8位に急上昇
旅行・運輸分野では、JTBグループが前回19位から8位へと大きく順位を上げました。インバウンド需要の復調により、2024年度の売上が2期連続で1兆円超であることが記されています。運輸では、ANAホールディングスが14位で過去最高の売上高を記録し、JALも26位で増収となりました。インバウンドを背景とする市場の回復がダイレクトに人気へ反映されています。旅行・運輸の複数社が前回から順位を上げており、業界全体の回復が学生の関心を引き戻しているといえます。今回のランキングでは、同分野の復調がはっきりと見て取れます。
金融は底堅く上昇 自動車はトランプ関税の影響で下落傾向
金融系は底堅い人気が示されました。三菱UFJ銀行は33位で前回の58位から上昇、三井住友銀行は52位で前回77位、りそなグループは63位で前回105位です。野村證券は83位、大和証券グループは91位にランクインし、生損保もランキング入りしています。背景として、マイナス金利政策の終了や連日の株高報道の影響が考えられるとの記述があります。一方で自動車系は下落しました。完成車メーカーでは唯一ランクインしたトヨタ自動車が42位で前回25位から下落し、デンソーは199位で前回140位から下落しました。プレスリリースでは「トランプ関税」による減益が影響した旨が示されており、これが順位下落の要因として挙げられています。
調査概要 回収手法と対象、サンプル規模
調査は2025年3月1日から10月31日に実施され、調査機関は株式会社学情です。対象は2027年3月卒業予定の全国の大学3年生、大学院1年生で、有効回答数は15,492件です。回答方法は選択式で最大5社まで。回収は、Re就活キャンパス登録学生へのメール告知によるWeb入力フォームの回収と、同社主催イベント来場学生に対するWeb入力フォームでのアンケート回収によって行われました。これらの条件と手続きは、今回のランキングの前提となる調査設計として明示されています。調査期間が春から秋までの長期にわたる点も特徴です。
詳しくは「株式会社学情」の公式ページまで
