
医療ITのエクセル・クリエイツと鹿児島大学が共同で、LINEを使った無料の「入浴時警戒情報」配信を実施しています。2023年開始の取り組みは3年目を迎え、鹿児島県内で冬季(11月〜翌2月)に地域のヒートショック危険度を「危険/警戒/注意」の三段階で通知します。
入浴時警戒情報の仕組みと実績
エクセル・クリエイツと鹿児島大学の共同プロジェクトは、LINEの「友だち追加」によって居住地域の入浴リスク情報を受け取れる無料サービスです。
配信は鹿児島県内を対象に、毎年11月から翌年2月の冬季に行われます。
危険度は「危険」「警戒」「注意」の三段階で示され、LINE上でいつでも現在の危険度を確認できます。
本取り組みは2023年度に開始され、2025年度で3年目を迎えています。
昨年度は登録者が約3倍に増加し、特に50〜70代の登録者が前年度比で約4倍に伸びました。
危険度が高い日には行動変容が見られ、登録者のうち約50%が「注意して入浴した」「入浴を控えた」と回答しています。
ヒートショックは冬季に脱衣所と浴室の寒暖差などで血圧が急変し、心筋梗塞や脳卒中、突然死を招くおそれのある現象です。 厚生労働省の2024年データでは「浴槽内での溺死及び溺水」による死亡は7,746人で、そのうち7,336人(9割以上)が65歳以上でした。 こうした背景から、入浴前の脱衣所や浴室の暖房、かけ湯、同居者との声かけなどの対策が推奨されています。 サービス側もLINEで入浴時の対策ポイントを案内し実際の行動変化につなげています。 知は鹿児島大学の公式公開に加え、地元放送局や新聞の天気欄でも行われています。 地域メディアとの連携によって、より広い層への訴求が図られています。
2025年度には機能改修を実施し、通知設計を見直しています。まず、危険度が「警戒」または「危険」の場合にのみ通知する仕様に改め、警戒心の希薄化を防ぐ意図があります。 また、これまで利用情報登録済みの方に限り通知していたところを見直し、約150名の利用情報未登録者にも通知を行う運用に切り替えます。
現在は鹿児島県のみを対象としていますが、データ収集と活用を進めることで将来的な全国展開を目指す計画です。エクセル・クリエイツはLINEを活用した本取り組みを通じて、人々の健康を守ることを目標としています。 産学連携による地域密着型の情報配信は、冬場の入浴事故予防に即効性のある一手となっています。
地域の気象や生活習慣に即した情報を、低い心理的ハードルで届ける仕組みは実効性が高いと考えます。
今後の運用改善とデータ蓄積が、全国展開の鍵になるでしょう。
詳しくは「株式会社エクセル・クリエイツ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部
