
世界18カ国を対象にしたアウンコンサルティングの1年分調査で、生成AIの「勢力地図」が鮮明になりました。ChatGPTが全域で圧倒、Geminiが9地域で2位に浮上、国別ではClaudeやPerplexityが急伸。企業のDX策定に直結する示唆を整理します。
調査概要と主要所見 — 企業DXに生かすための読み方

アウンコンサルティングは、2024年9月1日から2025年8月31日までの1年間、主要生成AIツールの検索ボリュームを世界18カ国・地域で取得しました。対象はChatGPT、Microsoft Copilot、Google Gemini、Claude、Perplexity、Grokの6ツールで、数値はAhrefsの推定値を用いており、相対的な注目度を示す指標として分析されています調査で最も明確だったのは、ChatGPTが調査対象すべての国・地域で他を大きく上回る検索ボリュームを記録した点です。教育や業務支援、開発補助など幅広い用途での関心が裾野の広さとなって現れており、企業がDXを進める際の「まず触れるツール」として重視すべきことを示唆します。
一方でGoogleのGeminiは、日本や東南アジア、米国など9カ国・地域で検索ボリューム2位に躍進しました。2025年5月のGoogle I/Oでの新モデル「Veo 3」や検索へのAI統合「AIモード」のグローバル展開が背景にあり、検索基盤を握るプラットフォーマーの影響力がユーザー接点に直結していることが読み取れます。マーケティングやSEO、顧客接点設計では、こうしたプラットフォーム動向を前提に施策を検討する必要があります。
国別の特徴も顕著で、ベトナムではClaudeの検索が急増しています。ベトナム政府はAIを成長戦略の柱と位置づけ、2025年末のAI関連法制定を目指すなど政策面の後押しが関心を高めています。インドではPerplexityの急伸が目立ち、通信大手Bharti Airtelとの提携により約3億6,000万人のユーザーに有料版が提供されたことが直接的な要因とされています。これらは政策や大手事業者の施策が検索行動に大きく影響する典型例です。
検索ボリュームは「関心」の強さを示す有力な指標ですが、企業のDXでは単なる関心を越えて導入・運用の観点が重要になります。ツール選定に際しては、データガバナンス、セキュリティ、既存システムとの統合、社内教育計画を同時に設計することが不可欠です。本調査は関心の可視化素材として有用であり、候補ツールの優先順位付けやPoC設計、ローカライズ方針の検討に活用できます。継続的なモニタリング体制を整え、各社のアップデートや提携情報を業務設計へ速やかに反映することが、DX成功の鍵となるでしょう。
詳しくは「アウンコンサルティング株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
