OpenAI、Oracle、ソフトバンクが米国でStargateのAIデータセンターを新たに5拠点開設。7GW級・数千億ドル規模の投資で設備拡充を前倒しし、企業のDX導入を後押しします。
企業DXを変える「物理的インフラ」の即効性と実務的意義
OpenAIとOracle、ソフトバンクによるStargate拡張は、単なる設備増強ではなく、企業のDX戦略に即効性を与える物理的基盤の整備だといえます。今回発表された5拠点の追加と、テキサス州アビリーンの旗艦キャンパスやCoreWeaveとのプロジェクトを合わせた計画容量は約7ギガワットに達し、今後3年間の投資は4,000億ドル超となる見込みです。1月のコミットメントで示された「10ギガワット・5,000億ドル」を予定より前倒しで達成する見通しが立った点は、AI需要の急拡大に対する物理的な解答を示しています。企業が大規模モデルのトレーニングや推論を計画するとき、こうした安定的で大容量の供給があるかどうかは、プロジェクトの着手可否、スケジュール、コスト見通しに直結します。
具体的な拠点選定と連携の仕組みは、DX実務にとって重要な示唆を含んでいます。今回の5拠点は、シャッケルフォード郡（テキサス）、ドニャアナ郡（ニューメキシコ）、テキサスのミラム郡、オハイオ州ローズタウン、そしてアビリーン周辺の追加拡張が可能な場所を含み、30州以上から提出された300件超の提案を経選ばれました。これにより地域ごとの電力供給能力や土地確保、雇用創出力を踏まえた現実的な立地が確保され、企業は地理的な冗長化や電力調達の多様化を見越したDX設計を行いやすくなります。特にOracleはOCI上でNVIDIA GB200ラックの導入を進めており、実運用に近い環境が早期に利用可能になる点が企業側の計画を前倒しさせる要因です。
また、雇用と電力インフラの観点も見逃せません。発表では5拠点群で2万5,000人以上のオンサイト雇用と全米で数万人の雇用波及が見込まれるとされ、SBエナジーとの提携による電力供給支援も明示されています。DXを推進する企業は、単にモデルを走らせるだけでなく、安定した電力と長期的なコスト見通しを基に投資判断を行う必要があります。Stargateの拡張は、こうした「インフラの信頼性」を提供することで、企業のDX投資を後押しし、結果として新サービスの市場投入や業務自動化のスピードを引き上げる可能性があります。ただし、導入にあたってはデータガバナンスやセキュリティ要件の整理を行して進める必要がある点も忘れてはなりません。
詳しくは「OpenAI」の公式ページまで。
レポート／DXマガジン編集部 權
