
北海道上川町で、株式会社デジタルレシピはAWL株式会社、Gatebox株式会社と連携し、住民利便性の向上と業務効率化を目的としたAI案内窓口の実証実験を開始しました。本取り組みは総務省の令和5年度「自治体フロントヤード改革モデルプロジェクト」において、人口1万人未満の団体モデルとして上川町が採択されたことを受けて実施されます。デジタルレシピは「AIと共に生きる未来をつくる」を掲げ、生成AIのサービス開発やコンサルティングの経験を活かして本プロジェクトの中核を担います。

実証実験は大きく三つの施策で構成されます。第一に小規模自治体に適した窓口業務のAI対応によるオムニチャネル化で、生成AIを活用した窓口案内により来庁窓口とオンライン申請をシームレスに結びつけます。第二にオンライン申請と窓口の統合による効率化を図り、手続きの重複や職員の負担を軽減することを目指します。第三にAI映像解析技術を用いた施設状況の可視化と効果測定で、来庁者の動線や滞留状況を匿名化して把握し、運用改善や混雑対策に活用します。
技術面では、デジタルレシピが生成AIによる3Dアバターの人格プロンプトやサービス基盤を構築し、AWLはエッジコンピューティングを活用したマルチカメラトラッキングシステムで現場の可視化を担います。Gateboxの提供する筐体「GTBX-100」を用い、3Dアバターをホログラムのように投影して音声でのコミュニケーションを可能にすることで、アバター化された上川町長が来庁者を迎えるユニークな窓口案内フローを実現しています。AWLの技術はプライバシーに配慮した形で来庁者の行動を把握することを想定しており、必要な指標を抽出して運用に反映する設計となっています。
上川町は大雪山国立公園の北方部に位置し、層雲峡温泉や黒岳登山口など豊かな自然と観資源を有する町です。人口は約3,500人で、通年型山岳リゾートタウンの推進など地域の活性化にも取り組んでいます。本実証は、庁舎空間を単なる手続きの場から多様な主体との共創やイノベーションの場へと変革することを目指しており、地域特性と結びつけた運用が期待されています。
デジタルレシピはこれまでに生成AIを駆使したサービス開発の実績を持ち、本取り組みでは3Dアバターの人格設計やプロンプト作成、サービス基盤の構築を担当します。AWLは北大発のスタートアップとしてエッジAI映像解析技術を開発し、現場最適化を目指す導入実績を有しています。Gateboxはキャラクターと暮らせる世界を目指す製品開発企業で、法人向けのAIキャラクターソリューションも提供しています。三者の連携により、住民と行政との接点を多様化・充実化し、住民の利便性を高めるとともに庁舎運用の効率化を図る試みです。
今回の実証を通じて、上川町、デジタルレシピ、AWLはデジタル技術を駆使した地域社会の未来づくりに挑戦します。住民の皆様と共に便利で効率的な行政サービスの実現を目指し、今後の展開に期待が寄せられます。
詳しくは「株式会社デジタルレシピ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松
