
病院に新たなタブレット式の認知機能検査アプリが設置されました。高齢ドライバーの安全をどう守るか――研究連携の現場で、気軽に受けられる検査が“受診のきっかけ”を生み、地域の交通安全対策につながる可能性が高まっています。
研究と実利用をつなぐ現場導入の意義

株式会社ディー・エヌ・エーの子会社が開発したタブレット式の認知機能検査アプリが、川崎医科大学附属病院 認知症疾患医療センターに導入されました。今回の導入は、病院が推進する科研課題「リアルワールドでの認知機能と道路交通<高齢者運転リスク評価指標の確立>」に連動したもので、実臨床から得られるデータを研究へ還元する狙いがあります。
病院では、来院者や地域住民が気軽に検査を受けられるよう、病院玄関近くの患者図書室内に端末を設置しています。検査は一人で完結できる操作性を備え、従来の免許更新時に用いられるタブレット検査と同様の体験が可能です。これにより、自覚しにくい認知機能の低下を早期に示唆し、もの忘れ外来への受診促進につながる初期のきっかけ作りが期待されています。
導入後の利用者からは、「体験できてよかった」「もの忘れを実感し、勉強になった」といった声が寄せられており、地域住民の日的な健康確認のツールとしての受け止められ方がうかがえます。また、データは管理者向けの管理サイトで一括取得できる仕組みになっており、収集された実データは研究の解析材料として活用されます。病院側は、研究成果をもとに高齢者の運転リスクを評価する有効な指標の確立を目指しており、そうした指標は超高齢社会における交通安全対策に貢献すると期待されています。
今回の取り組みは、医療現場での検査体験の“見える化”と、研究データの蓄積という両輪で進められています。病院が地域に開いた設置場所での普及は、検査の敷居を下げ、早期発見と適切な受診の流れをつくる重要な一歩となるでしょう。医療機関や薬局、企業、地域コミュニティなど幅広い現場での活用が想定され、今後の展開に注目が集まります。
詳しくは「株式会社ディー・エヌ・エー」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
