RIZAP-G Research Memo(1):chocoZAP事業の収益力向上で、2026年3月期第1Qは営業黒字
RIZAPグループ<2928>は“「人は変われる。」を証明する”という唯一無二の理念の下、健康づくり事業を中心に、ヘルスケア・美容、ライフスタイル、インベストメントの3領域で多様な事業を展開する総合企業である。「自己投資産業でグローバルNo.1」をビジョンに掲げ、持株会社体制の下、M&Aを積極的に活用しながら飛躍的に成長を遂げ、上場子会社5社を含むグループ企業68社、連結従業員数4,645名を擁するまでに成長した(2025年3月末時点)。2006年に札幌証券取引所アンビシャス市場に株式を上場しており、進行中の中期経営計画では営業利益40,000百万円(2027年3月期)を目指して新規事業「chocoZAP(R)(チョコザップ)」事業の積極展開等を行っている。
1. 2026年3月期第1四半期の業績概要
2026年3月期第1四半期は、売上収益が39,915百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益が408百万円(前年同期は2,884百万円の損失)、税引前損失が166百万円(同3,691百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失が5,945百万円(同2,853百万円の損失)となり、4年ぶりに第1四半期営業黒字を達成した。なお、債権放棄に伴う一過性費用(約59億円、通期の業績予想に反映済み)の影響で最終損失を計上したが、当該費用を除いた場合の最終利益は前年同期比で約29億円の改善となる。注力事業のコンビニジム「chocoZAP」事業では、品質改善と収益性強化を目的に、出店数や広告宣伝費の抑制、株主優待・法人会員トライアルの制度見直しなどを実施し、会員数は減少した。その結果としてRIZAP関連事業(chocoZAP含む)の売上は880百万円減の11,049百万円となった。既存事業では、REXT Holdings(株)、MRKホールディングス(株)等の増収分(同1,559百万円増)があった一方で、(株)アンティローザ(値引き抑制等)などによる減収(同1,769百万円減)が上回った。2026年3月期の経営方針として「収益構造の再構築」を掲げており、利益面ではchocoZAP事業における出店投資効率や集客コストの改善に加え、マシンメンテナンスなどの運営効率が大幅に改善したことで、収益性が向上し、全社の利益改善に大きく寄与した。全社の営業利益改善額が前年同期比3,293百万円に対して、RIZAP関連事業(chocoZAP含む)の改善額は、同2,778百万円だった。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績は、売上収益が172,000百万円(前期比0.5%増)、営業利益が11,000百万円(同484.3%増)、税引前利益が8,550百万円(前期は1,495百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益が2,000百万円(前期比657.5%増)と、chocoZAP事業の利益貢献により大幅な増益を見込んでいる(期初予想どおり)。売上収益に関しては、これまで成長のドライバーだったchocoZAP事業において、出店や会員増に頼らない収益構造を目指しており、成長はやや落ち着くことが予想される。2025年3月期から実施しているchocoZAP既存会員の満足度向上の取り組みは、2026年3月期も継続する。自社出店に加え、企業や自治体などと連携した共同出店・協業モデルも引き続き推進する。また、FCモデルもトライアル展開を発表し、今後は、自社の財務負担がより少ない成長モデルの確立を目指す。また、グローバル展開は、香港など需要が確認できた地域から出店を加速する。営業利益に関しては、chocoZAPの収益力向上を主なドライバーとして、同9,118百万円増と、約6倍に飛躍する見込みだ。出店を抑えることで黒字店舗の比率が増えることに加え、前期に取り組んだ広告費の効率的な投入施策や他社との連携、DXのさらなる有効活用などにより、事業モデルをさらに磨き上げ、より強い収益基盤を構築する考えだ。
chocoZAP事業の店舗品質と顧客満足度の向上には引き続き注力するが、その投資のピークは越えたこと、新規出店や広告宣伝を抑制的に計画していること、広告事業や物販事業など店舗アセットを活用したビジネスモデルも軌道に乗ってきたことなどから、収益が出やすい状況にある。第1四半期は、例年は投資が先行するために営業損失を計上してきたが、2026年3月期は408百万円の営業黒字となり、稼ぐ力の向上が見られる。期末に向けて尻上がりに収益が高まる下期偏重の事業特性からも、予算達成の可能性は十分にあると弊社では見ている。
3. 成長戦略・トピックス
chocoZAP基本戦略に従い、2026年3月期は収益構造の再構築期と位置付けており、会員数の伸びのみに依存せず収益構造の最適化による利益成長を目指している。実際に、2026年3月期第1四半期は、会員数が減少し、売上は前年同期の94%となった。一方で、運営や集客の効率化が進展し原価+販管費は同70%に抑制できた。結果として、営業利益ベースで20億円以上改善した。また、フリーキャッシュ・フロー(営業キャッシュ・フロー-投資キャッシュ・フロー)では前年同期比で76億円改善しており、キャッシュ創出力が飛躍的に向上した。施策の具体例としては、定期巡回専門スタッフを社内で育成し、効率的に運用することで成果を出している。定期巡回専門スタッフの役割としては、マシンやトイレなどの設備修理、マシンや消耗品などの配送、清掃など多岐にわたる。前期はマシンの故障や品質問題に対応するために外注費をかけて対応した経緯があったが、専門人材を社内で育成する内製化の方針に転換し、DXで仕組化・効率化を図った。その結果、2026年3月期第1四半期は、マシン故障修理などにかかる外注費で前年同期比72.4%削減、マシン配送などにかかる荷造り運賃で同37.9%削減と大きな成果につながった。また、IoT遠隔システムを自社開発し、冷暖房を自動制御することにより、快適な店舗環境とともに、大きな節電効果(電気使用量:前年比60.5%削減)が見込まれている。
■Key Points
・2026年3月期第1四半期はchocoZAP事業の収益力向上を主因に、第1四半期として4年ぶりの営業黒字
・2026年3月期の営業利益は前期比91億円増の110億円と、大幅増益見込み。期末に向けて収益高まる予想
・定期巡回専門スタッフによる内製化の進展などによりchocoZAP事業の収益構造が大幅改善
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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