クラボウ Research Memo(8):2026年3月期は構造改革等で減収・営業減益も政策保有株売却で最終増益見込む
1. 2026年3月期の業績見通し
新中期経営計画「Accelerate’27」の初年度となる2026年3月期の業績については、売上高を前期比4.4%減の144,000百万円、営業利益を同22.4%減の8,000百万円、経常利益を同19.4%減の9,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同5.4%増の9,500百万円とを見込んでいる。
構造改革中である「繊維事業」や半導体市場の市況回復の遅れを見込む「化成品事業」が減収となるほか、工場閉鎖に伴う異常操業費用や労務費等のコストアップを見込み営業減益となる見通しとなっている。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益については政策保有株式の売却益により増益を確保する。
2. 弊社の注目点
弊社でも、業績予想の前提は、外部要因(半導体市場の循環的な調整の動き等)及び内部要因(繊維事業の構造改革費用など)を合理的に織り込んだものと判断している。注目すべきは、2026年3月期下期の回復を見込んでいる半導体市場の動向であり、その回復需要をいかに取り込めるかが、業績の上振れの可能性はもちろん、2027年3月以降の注力事業の伸びを探るうえでも重要な判断材料となる。また、中長期的な視点からは、イノベーションの実現によるポテンシャルを秘めたライフサイエンス・テクノロジー事業の進展をフォローしたい。ロボットビジョンやバイオメディカルなどの新たな成長の軸が立ち上がり、事業創出のパイプラインが積み上がってくれば、同社が目指す事業ポートフォリオの実現に向けて大きく前進するものと見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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