
12月6日から新宿K's cinemaで1週間限定公開されていた若手映画監督、上坂龍之介氏(30)のデビュー作「レンタル家族」が自主映画としては異例の全回満員を達成した。
今年5月の「第23回中之島映画祭」でグランプリ受賞、「ハンブルク日本映画祭」など複数の映画祭にもノミネートされた話題作。多くの配給会社から上映の声もかかる中、上坂監督は「1週間全ての回が満席にならなかったら次の作品に切り替えます」と宣言しており、これを達成。来年の本公開も行う見込みで上坂氏らは「現在、準備中でございます。最新情報は公式HPにて公開させて頂きます」とした。
同作は12日に最終日を迎え、全ての上映において満員御礼を記録した。映画館のオフィシャルHPで上映3日前の24時からチケットのウェブ予約が始まると、4日目までは即完売。一時アクセスが集中してサーバーがダウンする事態も起こり、5日目以降もすぐになくなったという。
今回1週間の限定上映した新宿K's cinemaは、17年にメガヒットした「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)の聖地でもある。同作も当初は6日間限定上映だが、口コミが広がり全国上映へと発展。上坂監督も「そうしたムーブメントがまた起きたらいいな」と1週間全ての回の満員を目指していた。公開約1カ月前からはほぼ毎日スタッフや演者らと劇場に足を運んでチラシ配りなども行い「やれることは全てやって、ダメだったら潔く引きます」と意気込んでいた。
◆「レンタル家族」あらすじ 東京の会社に勤務する洋子は仕事で多忙な毎日を過ごす傍ら、定期的に実家へ帰省をし、父忠勝とともに認知症の母千恵子のケアをしている。千恵子の症状は近頃進行が早く、洋子が数年前に離婚したことさえ忘れ、帰省の度に元夫と娘について聞くのであった。ある日、洋子は取引先の担当者から「レンタル家族」というサービスを紹介され、体験レンタルを強く勧められる。戸惑いつつもレンタル夫を家事代行として自宅に呼び、派遣された松下豪と馬が合った洋子は、千恵子のことを相談。すると松下は、自分を夫、知り合いの子役・安田朱里を娘として、家族を演じることを提案し…。
◆上坂龍之介(こうさか・りゅうのすけ)1995年(平7)1月30日生まれ、兵庫県加西市出身。小学生の時に見たエドワード・ズウィック監督の映画「ラスト サムライ」の影響で映画の道を志す。映画学科のある大学に通いながら音楽番組のアルバイトとして働き、卒業後に制作会社で1年間勤務。格闘技番組のADなどを務めた。18年に自身の制作会社を設立して映像の仕事を行いながら映画監督を目指す。
