
テレビ朝日系「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)の大越健介キャスターは5日夜の放送で、自民党が連立を組む日本維新の会の肝いり政策である衆院議員定数削減に向けた法案を同日、維新とともに衆院に共同提出したことをめぐり、自民党内でも異論が出ている現状に言及した。同法案の扱いが「高市政権の命運にかかわってくる可能性もあります」との見方も示した。
同法案は、現行の衆議院議員定数465議席の1割を目標に、45議席以上を削減すると規定。実効性を担保するため、1年以内に結論が出なかった場合、小選挙区25議席、比例代表20議席を自動的に削減する内容を盛り込んだが、全国会議員の身分にかかわる問題であるのも関わらず与党だけで具体的な削減数が決められ、その根拠も不透明だとして、立憲民主党など野党は激しく反発している。
同法案は提出に先立ち、自民党の最高意思決定機関(党大会をのぞく)である総務会で5日、全会一致で了承されたが、納得できない議員が事前に退席したり欠席した、維新との「連立ありき」で突き進む高市執行部の現状に、自民党内も一枚岩でないことが露呈し、今後の波乱も予想されている。
大越氏は、総務会の位置づけを「時には究極の党内抗争の舞台になってきた」と指摘した上で、今回の議員定数削減法案提出は「維新との連立政権樹立のために、高市政権がある意味、力業(ちからわざ)で飲み込んだ」と表現した。
野党だけでなく自民党内でも反発が出ていることに加え、審議の場となる衆院政治改革特別委員会では現在、企業・団体献金の規制強化に向けた国民民主、公明両党提出の政治資金規正法改正案など3案の審議が行われており、野党側は議員定数削減法案より、「政治とカネ」法案の審議を継続するよう求めている。国会会期末は17日に迫り、議員定数削減法案の審議が実際に行われるのかどうかも不透明で、状況次第では維新が連立からの離脱をちらつかせる可能性もあり、週明けから与野党の駆け引きが本格化する見通し。
大越氏は「野党のみならず、党内合意を後回しにされた自民党の内部からも批判が収まりません」とした上で、「この問題は、維新との連立を維持できるかどうかも含めて、高市政権の命運にかかわってくる可能性もあります」と指摘した。
