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『タッカーとデイル』の韓国リメイク『ハンサム・ガイズ』監督 主人公二人のキャラクターは「日本の漫画がインスピレーション」[ホラー通信]


『タッカーとデイル』の韓国リメイク『ハンサム・ガイズ』ナム・ドンヒョプ監督インタビュー

単純な誤解によって無数の血が流れる爆笑スプラッターコメディ『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』(2010)を韓国でリメイク。『KCIA 南山の部長たち』で共演したイ・ソンミンとイ・ヒジュンが不運な主人公二人組を演じる『ハンサム・ガイズ』が10月3日(金)より公開される。監督のナム・ドンヒョプがメールインタビューに応じてくれた。

心はハンサムだが、少々ルックスがいかつい仲良し中年男二人組。外見だけで彼らを“殺人鬼”だと思い込んだ若者たちが、二人を警戒しすぎたせいで勝手にバタバタと死んでいく様を描く。原作の設定を活かしつつ、オカルト要素やシニカルな描写を盛り込み、韓国テイストに仕上げている。

日本での公開が発表されるや、主人公二人のルックスが「反社のよう」と大ウケ。実際のところは何をイメージしていたのか? ドンヒョプ監督に、キャラクターのインスピレーションや、アレンジのアイデアなどについて伺った。

――リメイク元の『タッカーとデイル』のどのような点に惹かれましたか? リメイクするうえでこだわった部分について教えて下さい。

ドンヒョプ監督:原作映画の最大の魅力は、主人公たちを誤解したさまざまな人物が、思わぬ形で自滅してしまうシーンにあると考えていました。しかし、そうしたシーンをそのまま取り入れると、残酷な描写を好まない韓国の感覚には合いません。何より、できるだけ多くの人が不快にならずに楽しめる作品にしたいと思いました。そのため、残酷シーンの度合いは慎重に調整していきました。状況を十分に想像させつつも、直接的には見せない方法で撮影し、恐ろしい状況もできるだけコミカルに見えるように演出したのです。映画全体の雰囲気も原作より明るく、楽しいトーンにしています。しかし、笑いの好みが人それぞれであるように、残酷さの感じ方も人それぞれなので、適切な度合いを選ぶのは簡単ではありませんでした。

――オカルト要素を取り入れるアイデアはどこから生まれたのでしょうか。ヒントになったものはありますか?

ドンヒョプ監督:原作映画の主要な舞台である“森の中の山荘”は、『悪魔のいけにえ』や『13日の金曜日』のようなスラッシャーホラー映画だけでなく、『死霊のはらわた』や『キャビン』のようなオカルト映画でも定番の舞台ですよね。原作では単に死んでしまうだけの人々が、私たちの作品では悪霊に取り憑かれて蘇ります。原作にはなかったオカルト的なひねりを加えることで、物語をより魅力的にできると考えました。

――日本の映画ファンはSNSで、ジェピルとサングのビジュアルについて「殺人鬼というより暴力団のようだ」と面白がっていました。実際に暴力団をイメージしていたのでしょうか? ビジュアルやキャラクター作りの面で参考にしたものはありますか?

ドンヒョプ監督:殺人者や犯罪者のように見せようとしたわけではなかったんですよ。ジェピルとサングのビジュアルについては、どちらかというと“少し普通ではなく、近づきにくいスタイル”にしたいと考えていました。たとえば、地下鉄や田舎でたまに見かける、奇抜な服装やヘアスタイルをしているけれど、実際はとても心の優しい人というイメージです。

ジェピルのスタイルは、山でイノシシ狩りをして暮らすおじさんの写真を参考にしました。サングのスタイルは、ホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』を参考にしています。そして、二人のキャラクター表現に大きなインスピレーションを与えた作品の一つが、日本の漫画『エンジェル伝説』です。特に、ジェピルがチェーンソーを手に叫びながら突進するシーンは、『エンジェル伝説』で悪魔のような顔をしているものの心優しい主人公・北野が叫びながら突進する場面を参考にして作ったのです。

イノシシ狩りをして暮らすおじさんをイメージしたジェピル(イ・ソンミン)

『ジョーカー』をイメージしたサング(イ・ヒジュン)

――イ・ソンミンさん、イ・ヒジュンさんのコミカルな演技はいかがでしたか?

ドンヒョプ監督:コメディほど俳優の演技力が重要なジャンルはないと思います。コメディ特有の馬鹿げた非現実的な状況を観客に納得させるには、ストーリーの説得力も大切ですが、その状況を本当に起こっているかのように信じさせる俳優の演技力も非常に重要です。日本の北野武、アメリカのジム・キャリー、香港のチャウ・シンチーはいずれもコメディ俳優としてのイメージが強いですが、実際にはどんなジャンルでもこなせる卓越した演技力を持つ名優です。そのため、韓国で最高の演技力を持つ俳優として知られるイ・ソンミンとイ・ヒジュンを自然に思い浮かべました。幸いにも、二人ともこれまで経験したことのないスタイルの映画に魅力を感じ、キャスティングを快諾してくれました。予想通り、二人は『ハンサム・ガイズ』にリアリティをもたらす最高の演技を見せてくれたと思います。

――彼らのシーンで特に気に入っているものはありますか?

ドンヒョプ監督:イ・ソンミンが演じたジェピルのシーンでは、蜂に追われながらチェーンソーを振り回して走る場面や、映画後半で太ももに鉄の串が刺さり、舌を出して悲鳴を上げるシーンが特に好きです。特に、舌を出して悲鳴を上げるジェピルの姿には、私が好きな香港俳優ン・マンタの面影が見え、特別に愛着があります。

イ・ヒジュンが演じたサングのシーンでは、サングがミナにダンスを披露する場面や、パトカーが爆発した後に「学生さん、まだ死んでなかったんですね」とセリフを言う場面が好きです。特にそのセリフを言うときのサングの複雑な表情は、イ・ヒジュンという俳優だからこそ表現できたものだと思いますね。

『ハンサム・ガイズ』
2025年10月3日(金)より新宿ピカデリー他にて全国順次公開

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