
日本オラクル 執行役員NetSuite事業統括 日本代表カントリーマネージャー 渋谷由貴氏とデジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏が、DXの課題と成功の鍵について議論する対談企画。第3回となる今回は「業務改革」のあるべき姿。そもそも改革とは何を指し、何をどのように進めるべきかを両氏が議論しました。
経営と人材に直結する取り組みこそが「改革」
鈴木:多くの企業が「何かしなければいけない」「DXに取り組まなければいけない」などの危機感を持ち、業務改革を進めようとしています。とりわけ中堅・中小企業に限ると、会社の存続さえ左右しかねない問題と受け止めていると感じます。
渋谷:おっしゃる通りですね。「DX」や「2025年の崖」といった言葉が飛び交う中で、多くの企業が「自分たちも動かなければ」と強い危機感を持たれていると感じます。
ただ、焦りが先行してしまい、「何から始めるべきか」がまだ見えていないケースも多いように思います。そうした状況でDXに取り組むと、どうしてもツールの導入自体が目的化してしまいがちです。本来の目標が明確でないまま手段だけが先行してしまう、というのはよくある課題ですね。
鈴木:近年はChatGPTを始めとする生成AIが業務で活用され始めています。他社が生成AIを活用していると聞くと、企業の経営者は「自社でも活用しよう」と、目的なしにまずは生成AIを導入しているように感じます。「生成AIを使っているが成果が出ない」という経営者からの相談を受けることも増えていますが、その多くが目的が不明瞭なんです。
渋谷:やはりDXを進めるうえでは、「改革そのもの」をゴールとして意識することが大切だと思います。
鈴木:渋谷さんは「改革」をどのように定義していますか。
