
TOIMAPを運営する株式会社KICKsの分析が示したのは、トイレ整備における地域格差の実態です。京都の洋式化96.6%や女性個室比率2.20と、香川28.2%・愛知1.27の差は、観光・外出行動に直結します。本稿では調査結果をもとに、トイレを「コスト」から「資産」に変えるDXの要点を整理します。
データが示す格差の実態とTOIMAPの提言
社会課題解決型トイレマップ「TOIMAP」(運営:株式会社KICKs)は、保有する2万件超のトイレ情報と、各自治体が公開する公衆トイレオープンデータを突合し、14都道府県・合計4,383施設を対象に分析を行いました。主指標は「洋式化率」と「女性個室比率」です。分析結果では、洋式化率は京都府が96.6%でトップ、香川県が28.2%でワーストとなり、最大で約3.4倍の差が明らかになりました。女性個室比率では京都府が2.20、愛知県が1.27で、最大で1.7倍の差が確認されています。
TOIMAPはこれを「トイレ不安」がもたらす経済機会損失(同社試算で年間約3,000億円)に結びつけ、トイレを単なるコストではなく地域資産として再評価することを提言します。具体的にTOIMAPは、自治体のトイレ台帳のデジタル化、公衆トイレオープンデータの整備、デジタルトイレマップによる可視化を推奨し、八王子まつりで実証のようにイベント現場での検索データ活用が混雑緩和に寄与することを示しています。
さらに、無償実証実験キャンペーンを通じて既存台帳を即日でマップ化する支援を提供し、自治体・観光協会・施設管理者の参画を促しています。ただし分析にはオープンデータ公開の偏りやサンプリングの限界があり、たとえば愛知県の順位は名古屋市データの未包含が影響している可能性があるとTOIMAPは明記しています。そうした留意点を踏まえつつ、TOIMAPはEBPM(証拠に基づく政策立案)を支援し、トイレを「データ資産」として利活用することで、地域の観光力や住民の外出機会を回復させることを目指しています。
詳しくは「株式会社KICKs」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部
