
米マイクロソフトのクラウド基盤「アジュール」と業務ソフト「Microsoft 365」で、10月30日未明(日本時間)から世界的な障害が発生しました。設定変更のミスが原因とされ、アクセス不能の報告はアジュールで約1万8000件、365で約1万1000件に達しました。短時間での復旧作業が進められましたが、この10月の障害は、主要クラウドに依存する現代ビジネスが持つ脆さを改めて浮き彫りにしました。
影響の範囲と復旧までの経緯
今回の脆さを示す事態は、10月29日午前11時30分(米東部時間、日本時間30日午前0時30分)ごろ、アジュールとMicrosoft 365で発生しました。ダウンディテクターへの報告は、アジュールで約1万8000件、365で約1万1000件にのぼり、世界の複数地域で影響が確認されています。マイクロソフトは全地域での影響を公表し、原因は「不注意なシステム設定の変更」であると説明しています。
影響は企業向け業務ソフトだけにとどまらず、ゲーム機XboxのオンラインサービスやメールOutlook、生成AI Copilot、ゲームマインクラフトなど消費者向けサービスにも波及しました。外部企業への影響も報告され、米アラスカ航空はウェブサイトや主要システムで混乱が生じたと発表し、スターバックスやコストコでもサービス障害の報告がありました。
マイクロソフトは修正プログラムの展開を開始し、日本時間30日午前8時ごろまでの回復を見込むと発表しました。この10月の障害は、9月に発生したAWSの大規模障害に続くものであり、主要クラウド事業者の単一の障害が、世界のサービスに短時間で広範な影響を与えるという現実が、クラウド依存の脆さとして改めて示されています。企業側では、この出来事以降、クラウド運用の変更管理や代替手段の検討が急務となっています。
今回の障害は、設定変更に伴う運用上の課題が、短時間で広範囲に波及することを示しました。企業は、事業継続計画の有効性を点検し、サービス依存度の把握と冗長化を進めることが、この脆さを克服するために求められています。
