JR東海は、新幹線内の防犯カメラ映像をAIで解析する検証実験の実施時期を2026年1月に延期すると発表しました。中京テレビNEWSの報道によると、当初は2025年11月に予定していましたが、プライバシー保護の観点から乗客への丁寧な周知が必要だとして判断を改めています。実験は車内のカメラ映像から乗客の年代や服装などをAIで解析し、利用目的などを推測する取り組みで、JR東海では初の試みです。映像データは実験終了後に削除され、ビジネス向け車両の増減などサービス向上に活用するとしています。東海道新幹線の運行実態や需要の可視化が進めば、編成最適化や快適性の向上に資する可能性があります。
具体的な実施時期は2026年1月10日から16日までの1週間です。対象は東京駅から新大阪駅を結ぶ東海道新幹線で、1号車と6号車、グリーン車の8号車に設置された防犯カメラが用いられます。JR東海はこれまで、ホームページや駅の電子看板で周知を行ってきましたが、今回新たに駅構内放送や英語での広報も加えて周知を強化するとしています。周知手段の拡充は、実験の趣旨理解を広げ、乗客の不安を軽減する狙いがあります。利用者は期間と対象車両を把握し、疑問点があれば駅係員に確認するなど、情報に基づく行動を心がけると安心です。
DX推進の観点では、AI解析の目的とデータの取扱いを明確化し、周知と削除方針を徹底する運用が鍵になります。企業はこの事例を参考に、可視化したいKPIの定義、データの最小化、保存期間と削除手順の明文化、実施前後の説明責任の設計を進めるとよいでしょう。あわせて、多言語対応や現場放送など、ターゲットに届く周知チャネルの選定も重要です。JR東海が示すように、プライバシー配慮と社会的受容性を高める丁寧なプロセスは、公共空間でのAI活用の信頼を左右します。プロジェクト担当者は、検証目的と利用者メリットを一貫して伝え、フィードバックの収集と改善サイクルを組み込むことが実務での成功につながります。
