ベネッセが全国の小学3〜6年と保護者1,032組を対象に実施した調査で、小学生の生成AI認知は74.7％に達し、利用は“習慣化”フェーズに入りつつあることが判明しました。家庭や学校のルールづくりや対話は追いついておらず、親の期待と懸念が同時に浮かび上がっています。
調査が示す普及の実態と家庭・学校の課題
ベネッセコーポレーションの調査は、ChatGPT登場から約3年目の家庭と学校における生成AIの受容を示すものです。まず認知率では、小学生が47.8％（2023年）から74.7％（2025年）へと約26ポイント増加し、保護者は74.1％から89.6％へ上昇しました。認知が広がる中で、生成AIはもはや「知っている」存在を越え、生活の一部になりつつあります。
実利用については、生成AIを「知っている」と回答した小学生のうち80％超が利用経験を持ち、利用は“習慣化フェーズ”に入ったと分析されています。家庭での利用形としては、最も多いのが「保護者のスマホやPCを借りて子ども自身が操作する」ケースで、自分専用の端末で使う子どもも一定数います。保護者が代わりに調べる割合は2割弱にとどまり、自ら使わせる家庭が主流です。
一方で家庭内のルールや親子の対話は十分には整っていません。生成AIの使い方について「話したことがある」と回答した家庭は約5割で、2023年の約4割からは増えたものの、普及の速度に比べると遅れが目立ちます。学校での活用経験は約4割にのぼり、教育現場でも一定の導入が進んでいることがうかがえます。
利用の効果に関する保護者の認識は二面性を示しました。65.2％が情報収集力や思考・表現の広がりなどポジティブな変化を感じる一方で、49.3％が「自分で考える機会の減少」を懸念しています。子ども側の心理面では、利用者の半数以上が「楽しい」「安心する」と答え、約6割が「分からないときにまずAIに聞く」行動を取ると報告されました。同じく約6割がAIの誤りに気づいた経験を持ち、親しみと警戒が混在する実態が浮かびます。
安全面では、親子ともに「個人情報を入力しない」を最も重視する結果となっており、重要視されるポイント自体は前年と概ね変わっていません。ベネッセ教育総合研究所の小村俊平氏は、生成AIが当たり前になった今、家庭と学校が連携して「どう効果的に使うか」を考え、人間ならではの資質・能力をどう育てるかが今後の課題だと述べています。
詳しくは「ベネッセコーポレーション」の公式ページまで。
レポート／DXマガジン編集部
