生成AIを使い、阪神電気鉄道とアイテック阪急阪神が共同開発中の保守支援システムが鉄道技術展に出展されます。過去記録を基に原因推定や必要マニュアルを即座に提示し、故障対応の迅速化を目指します。
生成AIが提示する「復旧情報の見える化」と現場活用
アイテック阪急阪神と阪神電気鉄道が共同で開発する本システムは、電力設備や信号通信設備の運用監視システム、定期点検や故障対応記録を一つのプラットフォームに集約します。生成AIが過去の故障対応記録を解析し、故障原因の推定や復旧に必要なマニュアル、直近の点検データなどを専用ダッシュボードへ迅速に提示する設計です。提示される情報の量と有効性、そして現場での活用方法は阪神電気鉄道が2025年10月から試験導入して検証を進めています。
同システムは、現場での情報探索時間を短縮し、復旧作業の精度を高めることを狙いとしています。鉄道は設備の多様性と運用継続性が求められるため、監視データと点検履歴を横断的に参照できる点が利点です。生成AIの提示によって、作業手順や優先度の判断材料が迅速に現場に届き、初動対応のスピードアップが期待できます。システムは第9回鉄道技術展（2025年11月26日〜29日、幕張メッセ）で出展され、来場者に試験運用の成果と活用イメージが示されます。
将来的には鉄道電気施設にとどまらず、車両や可動式ホーム柵など駅施設へ適用範囲を拡大する方針です。労働力人口の減少など事業環境の変化に対し、技術で補完する安全で安定した運行を維持する意図が明確になっています。今回の共同開発は、現場データの活用と生成AIの組合せが実運用フェーズでどこまで有効性を発揮するかを検証する重要な一歩です。
詳しくは「阪神電気鉄道」の公式ページまで。
レポート／DXマガジン編集部
