
企業風土が転職後の満足度に与える影響は、給料の約3倍――全国2,106名の調査で明らかになった実態を、心理的安全性や属人化の課題と合わせてDX推進の観点から読み解きます。組織風土の改善がDX成功の鍵です。
企業風土が転職満足とDXを決める理由
株式会社スコラ・コンサルトの全国調査(有効回答2,106人)は、職場の現状と転職満足の因果を示す示唆に富んでいます。まず特筆すべきは「仕事が属人的で特定の人に負荷が集中している」が40.2%を占める点です。加えて、転職経験者のうち約61.8%は「今の会社に転職して良かった」と回答していますが、満足度に最も強く影響するのは「会社の体質や企業風土」であり、給料(相関係数0.51)より強い相関(0.76)を示しました。つまり入社時に重視する給与条件だけでなく、働き始めてから体感する風土が長期的な満足度を左右します。
短期退職につながる主因は「上司や同僚に相談できない」「コンプライアンス軽視」であり、逆に長期在籍につながる要因は「心理的安全性」「正当な評価」「会社の方向性への共感」「成長支援」「ワークライフバランス」です。これらはすて組織風土に起因する要素であり、DX推進に不可欠な協働や情報共有、失敗から学ぶ文化とも深く結びついています。属人化の解消は業務の標準化とナレッジ共有を促し、DXで導入するツールやデータ活用が真価を発揮する土台を作ります。
世代・性別別の分析では差異も見えます。男性50代は「柔軟な働き方」と「人間関係」が満足度に強く影響する一方、女性では企業風土の影響度がより高い傾向があり、年代別でも求められる施策は異なります。したがってDX推進と人材定着を両立させるには、単一施策ではなく、心理的安全性の醸成、評価制度の整備、柔軟な働き方の導入、そして属人化解除に向けた業務設計の並行実施が必要です。企業風土は短期間で変えづらく「複利効果」で育てる性質があります。小さな改善を継続し、組織の経験値を積み上げることが結果的にDXの定着と人材の流出防止につながります。
詳しくは「株式会社スコラ・コンサルト」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
