
OpenAIがAPIで公開したGPT‑5.1は、推論時間をタスクに応じて自動調整し、単純作業を大幅に高速化します。24時間キャッシュや「推論なし」モード、apply_patch/シェルツールといった新機能が、開発現場と業務DXのスピードを劇的に高めます。
GPT‑5.1の要点とDX現場への直結ポイント
OpenAIはGPT‑5シリーズの新モデル「GPT‑5.1」をAPIプラットフォームで提供開始しましたGPT‑5.1は、タスクの複雑さに応じてモデルが思考(推論)に費やす時間を動的に調整する「適応推論」を採用し、単純な問い合わせでは応答を大幅に短縮してトークン効率を高めます。プレスリリースでは、ある代表的な例で従来の10秒程度の回答が約2秒に短縮された事例も紹介されており、レイテンシーに敏感な業務フローでの導入メリットが明確です。
DXに直結する機能として、開発者向けに「reasoning_effort」を「none」に設定することで推論を抑えた「推論なし」モードが用意されました。このモードはツール呼び出しの並列化や検索・コードタスクに強く、低レイテンシでのユースケースに最適です。さらにプロンプトを最大24時間保持する「拡張プロンプトキャッシュ」により、マルチターンのチャットや長時間のコーディングセッションでのフォローアップ応答を高速化し、キャッシュ入力トークンはキャッシュ未使用時より90%安価になるとされています。これにより頻繁なやり取りが発生する現場DXの会話型ワークフローのコストと遅延を同時に削減できます。
開発ワークフローを変える新ツールも見逃せません。まずapply_patchはモデルが構造化された差分(パッチ)を出力してファイルを作成・更新・削除できるフリーフォームのコード編集ツールです。これにより、単なる編集提案に留まらず、アプリケーション側で直接適用可能なパッチ操作が得られ、マルチファイルでの反復的な改修が効率化します。もう一つのシェルツールは、モデルが提案したシェルコマンドを開発者側で実行して結果を返す仕組みを提供し、モデルとローカル環境の連携による自動化・検査・データ収集が可能になります。こうした機能は、従来は手作業や複数ツールで分断されていた開発工程を一本化する力を持っています。
コーディング能力の向上も強調されています。Cursor、Cognition、Augment Codeなど複数のスタートアップと連携し、GPT‑5.1はコーディングにおける「性格」の柔軟化、過剰推論の削減、コード品質の改善を進めました。評価ではGPT‑5に比べ2〜3倍の速度向上や、ツール多用タスクで同等以上品質を保ちながらトークン使用量を大幅に削減する結果が示されています。複雑なエージェント作業でも一部の評価で50%高速化が報告されており、反復の多いバグ修正やPRレビュー、フロントエンド実装などDXの現場作業で即時的な効率化が期待できます。
総括すると、GPT‑5.1は単なる性能向上にとどまらず、推論の柔軟化、長期キャッシュ、apply_patchやシェルツールといった実務向け機能の組合せで、開発プロセスそのものを短期で改善する設計になっています。価格・レート制限はGPT‑5と同じで、gpt-5.1-chat-latest等は有料層で利用可能です。まずはレイテンシや反復作業に課題のある工程から段階的に導入検証することが、DXの効果を早期に実感する近道と言えます。
詳しくは「OpenAI」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部
