
まとめ買い・頂き物・家族の予定が合わない──そんな「使い切れない」日常を、家庭が冷凍で受け止め始めています。クックパッドの解析では、野菜の冷凍保存検索が2015年比で平均約17倍、ゴーヤは約37倍に増加しました。増加の背景と意味を読み解きます。
先取り冷凍は家庭の時間と食卓をどう変えたか


クックパッドが食品ロス削減月間に合わせて示した検索データは、家庭の食材管理が実務レベルで変化したことを示しています。プラットフォームの食の検索データサービス「たべみる」によれば、野菜の冷凍保存に関する検索は2015年比で平均約17倍に増加し、特にゴーヤは約37倍という顕著な伸びを記録しました。2024年から2025年にかけてはさらに加速し、ゴーヤは前年比約4.8倍、ナスは約5.5倍、キャベツは約6.4倍といった大きな増加率が確認されています。
この変化の背景には、家庭が直面する「使い切れない」現実があります。まとめ買いや頂き物、共働きなどで家族の食事タイミングが合わないことが多く、買った野菜が冷蔵庫で傷むリスクが日常的に生じています。こうした状況に対し、家庭は「傷む前に先取りで冷凍する」という選択を定着させ始めました。従来は冷凍に向かないと考えられていた小松菜、ナス、ゴーヤ、キャベツ、ジャガイモなどが、余った時に冷凍する対象として受け入れられている点が分かります。ユーザーからは「特売で二束100円なら生のまま冷凍」「野菜の高騰が続くので冷凍で備える」といった実践的な声が寄せられています。
冷凍をめぐる認識も変わってきました。単なる保存手段ではなく「時間を止める」技術として、調理の前段階に組み込む家庭が増えています。クックパッドはまた、日本の食品ロスが年間約464万トンに上り、家庭由来がその半分近くを占めること、全体では2000年比で53%削減が進む一方、家庭系の削減は46%にとどまる現状を指摘しています。冷凍保存は食品ロス削減と家計防衛の両面で即効性のある実践であり、価格高止まりが続く生鮮野菜の不安定な供給と価格変動に対する家庭の現実的な対応と言えます。
詳しくは「クックパッド」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
