
大阪・関西万博の玄関口として2025年1月19日に開業した Osaka Metro 中央線・夢洲駅 は、改札機、高度な案内表示装置、次世代通信・AI連携といったスマート駅機能を取り入れ、来訪者に“未来の駅体験”を提供する駅として注目されています。
大型LEDビジョンと劇場的演出 ― 駅自体が「移世界劇場」
夢洲駅の目玉の一つは、駅構内(改札付近)に設置された 全長約55メートル、縦約3メートルの大型LEDビジョン です。この LED ビジョンは、照明や音響装置と同期し、折り紙天井の鏡面素材に映像を反射させることで、まるで駅そのものが舞台になるような体験を創出しています。この演出空間は「移世界劇場」というコンセプトが掲げられており、駅を通過するだけでなく、訪れる人が“滞在したくなる空間”になることを目指しています。また、この LED ビジョンは デジタルサイネージアワード2025 において優秀賞を受賞。空間デザインと映像演出の融合が高く評価されました。
16台の改札機と多様な決済対応 ― 混雑緩和と柔軟性
夢洲駅の改札機は 横一列に16台並び、混雑を想定したスループット確保設計がなされています。 ICカード(交通系ICカード)、QRコード決済、タッチ決済など複数の方式に対応する設計で、来訪者が使いやすい決済手段を選べるようになっています。さらに、改札機の上部には横長の “シースルーサイネージ” が設置されており、改札通過時にも案内情報や映像演出を表示可能な仕組みになっているとの報告もあります。
AI案内サイネージとリアルタイム案内機能
駅の案内表示機能も、先端機能を導入する方向で整備が進んでいます。2025年3月28日から、夢洲駅(南改札外・券売機付近)に AI案内サイネージ が設置されることが発表されました。この AI案内サイネージは、来訪者が駅構内で迷わないよう動線案内を担うほか、時刻案内や施設案内などを表示できることが期待されます。こうした案内機能のスマート化は、駅利用者のストレス軽減および情報提供精度向上に資するものと考えられます。

スマート駅化がもたらす利便性・課題
これら改札機、大型サイネージ、AI案内といった設備を統合運用することで、夢洲駅は以下のような利点を目指しています。
- 混雑緩和・スムーズ交通:改札 throughput を確保することでピーク時のボトルネックを抑制
- 情報提供・誘導精度向上:来訪者に対してリアルタイム案内、乗り場誘導、施設案内などを的確に表示
- 駅体験の付加価値化:映像演出やデザインと一体化した演出で、駅そのものを魅力化空間に
しかし、一方で次のような課題も想定されます。
- システム統合・運用安定性:複数の機器と通信・制御連携をもつため、故障や同期ズレ、メンテナンス体制が鍵
- 通信基盤・帯域確保:映像・案内情報を遅延なく届けるためには高信頼な通信インフラが不可欠
- 利用者向けサポート・教育:多様な決済方式や案内表示機能を使いこなせるよう、わかりやすい案内・説明が求められる
今後の展望
夢洲駅は、駅という「通過点」を超えて、「体験の場」「情報発信拠点」としての機能を備えるスマート駅を目指す象徴的な施設と言えます。今後、来場者データをもとに案内表示の最適化を行ったり、混雑予測制御や AR/VR を使った案内演出を導入する余地もあります。
