
ソフトバンクグループがABBのロボティクス事業を総額53.75億米ドルで取得する契約を締結しました。買収は規制当局の承認を前提に2026年半ば〜後半の完了を見込み、AIロボット事業強化へ大きく踏み出します。
買収の全容とソフトバンクのDX戦略上の位置づけ
ソフトバンクグループは2025年10月8日付でABB Ltd.のロボティクス事業を買収する最終契約を締結しました。買収金額は53.75億米ドル(約8,187億円:1米ドル=152.31円換算)で、ABB側がロボティクス事業をカーブアウトして設立する持株会社の全株式を取得する形になります。取得後、その持株会社はソフトバンクの子会社となります。契約はすでにソフトバンクの取締役会で承認されていますが、EU・中国・米国などの規制当局の承認や一般的なクロージング要件の充足が前提となっており、完了は2026年半ばから後半を見込んでいます。
買収対象は産業用ロボットの開発・製造・販売を担う事業で、従業員は現時点で約7,000人を擁します。ソフトバンクは本買収を「フィジカルAI」への重要な投資と位置づけ、AIチップ、AIロボット、AIデータセンター、電力の4領域に集中する戦略の一環として、同事業の成長を加速させる意図を示しています。ソフトバンクは既にソフトバンクロボティクスグループやBerkshire Grey、AutoStore、Agile Robots、Skild AIなどのロボティクス関連投資を保有しており、ABBのブランド力と販売チャネル、顧客基盤を組み合わせることでAIロボティクス分野での競争力を高める狙いです。
買収スキームではABBがロボティクス事業を切り出して新たな持株会社を設立し、その全株式をソフトバンクが子会社を通じて取得します。ソフトバンク側は、本買収によって得られるロボティクスプラットフォームや専門知見、各地のプレゼンスが既存投資と相互補完的に働くと説明しています。ABBが提供した財務情報はプロフォーマかつ非監査の数値であり、買収完了時には正味運転資本や純有利子負債等を考慮した調整が行われる予定です。
マネジメントコメントとして、孫正義氏は「フィジカルAIを次のフロンティアとする」姿勢を掲げ、ABBロボティクスとともにASI(人工超知能)実現に向けた進化を目指すと述べています。一方ABBのCEOは、ソフトバンクがロボティクス部門と従業員にとって最適な場になるとし、両社の技術結合がロボティクスの新時代を切り拓くとコメントしています。今後の業績影響や具体的な日程は、確定次第公表されます。
詳しくは「ソフトバンクグループ株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
