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NTT×三菱の1kmレーザ給電、15%で何が変わる?


NTTと三菱重工が屋外での長距離レーザ無線給電で、1km先に1kWのレーザを照射し152Wを受電、15%効率を達成しました。離島や被災地、ドローンや宇宙応用をにらむ革新は本当に実用圏内か――実証の中身を追います。

実験の核心と成数値──1kmで1kW→152W、世界最高効率の意味

NTTと三菱重工は2025年1月~2月に和歌山県南紀白浜空港の旧滑走路で、光パワー1kWのレーザを送出して1km先で152Wを受電する屋外実験を実施しました。送光側はNTTの長距離フラットビーム整形技術を用い、回折光学素子やアキシコンレンズの効果を組み合わせて、1km先で強度分布が均一になるようビームを設計しました。受光側は三菱重工がホモジナイザや出力電流平準化技術を実装し、大気の揺らぎで生じる強度スポットを拡散・平準化してシリコン製光電変換素子で安定的に電力を取り出しました。この組合せにより、屋外かつ大気の揺らぎが強い環境下でのシリコン系光電変換として世界最高効率の15%を実証し、30分間の連続給電にも成功しています。

実験は安全管理の下で送光・受光の光学系をブース内に収め、地上約1mという低い光軸で実施された点が特徴です。地面に近い光軸は熱や風の影響で揺らぎが大きく、従来は効率低下の要因になってきました。送光の段階で伝搬後にビーム強度を均一化する「長距離フラットビーム整形」と、受光側でスポットを拡散する「ホモジナイザ」と平準化回路を組み合わせることで、大気揺らぎへの耐性を高めています。使用した受光パネルはコストと入手性を考慮したシリコン製で、今回の数値はこの条件下での到達点であることが示されました。

この成果は、電力ケーブルの敷設が難しい離島や被災地でのオンデマンド給電、ドローンなど移動体へのピンポイント給電、さらにはNTTの宇宙ブランドNTT C89が描くHAPSや宇宙展開を見据えた基盤技術の第一歩になります。論文は2025年8月5日に英文誌「Electronics Letters」に掲載され、公表されています。実験で示された技術的要点は、長距離でのビーム均一化と大気揺らぎの平準化という二つの技術の組合せであり、今後はレーザ波長に最適化した光電変換素子やより高出力レーザ光源で効率と供給電力のさらなる向上が見込まれます。

詳しくは「NTT株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權

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