
株式会社devの調査で明らかになったのは、生成AI導入企業の経営者の4割超が期待した成果を得られていないという現実です。全社導入は約35%にとどまり、原因は「活用方法の不明確さ」と「社内人材不足」が上位を占めました。
調査の方法と主要な結果――期待と現実のギャップを数字で見る

株式会社devが2025年8月29日から9月3日にかけて実施したインターネット調査(対象:生成AIを活用する企業の経営者、20代〜60代の男女、回答数318名)から、生成AI導入の現状と課題が明確になりました。まず推進度では、「全社的に活用している」が34.6%、「一部業務で活用している」が30.8%、「部署単位で本格活用」が21.4%で、約35%が全社導入の段階にあることがわかります。

導入時に経営者が期待していた成果は、「定型業務の自動化による生産性向上・コスト削減」が44.7%で最多、次いで「データ分析や需要予測による意思決定の迅速化・高度化」が41.2%、さらに「従業員の創造的業務へのシフト促進」が31.5%でした。これらの期待は導入の主目的を反映していますが、実際の達成度はまちまちです。

成果については、「期待通りの成果が出ている」が45.0%で最も多い一方、「期待ほどの成果は出ていない」が35.8%、「全く成果は出ていない」が5.4%でした。合計すると4割超の経営者が期待に届いていないと回答しており、投入したリソースと期待とのギャップが存在します。

期待が達成できない主な理由としては、同率で「具体的な業務への活用方法が分からない」と「AIを使いこなせる人材が社内にいない」がそれぞれ18.3%で上位に挙げられました。続いて「活用に必要なデータが不足、または整理されいない」が16.1%と続き、技術そのものよりも運用・人材・データ側の課題が目立ちます。

逆に、期待を得られている企業の要因としては「業務に即した具体的な活用方法が確立できている」が24.1%で最多、次いで「継続的に試行錯誤と改善を行っている」が20.9%、さらに「活用しやすいデータ基盤が整備されている」が16.0%でした。成功企業は手順と基盤づくりを重視しており、短期的な導入だけでなく運用定着に取り組んでいます。

最後に、生成AI活用の成果を最大化するために経営者が必要と考える対応は、「経営者自身の知識アップデート」が42.8%、「AI活用を前提とした事業・業務プロセスの見直し」が39.0%、「ビジョン・戦略の提示」が26.4%でした。経営トップの理解とプロセス設計が重要視されている点が浮き彫りです。
詳しくは「株式会社dev」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
