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スマホだけで「自作フォント」が作れる!ブラウザ完結の無料ツール、実際に使ってみた


スマホだけで「自作フォント」が作れる!ブラウザ完結の無料ツール、実際に使ってみた

 我々が日々何気なく目にしているさまざまなフォント(書体)を、簡単に自作出来てしまうツールがXに投稿され、注目を集めています。

 紹介されているのは、ブラウザ上で動作する「手書きフォント生成ツール」。紙やスキャナを用意する必要はなく、スマホやタブレットに“直接文字を書き込むだけ”という手軽さが魅力的です。

 このツールでは、アルファベットや仮名などを手書きで入力すると、その場でアウトライン化され、フォントファイル(OTF)が生成されます。アプリ不要、サーバーも不要。すべてブラウザ内のJavaScript処理で完結するのが大きな特徴です。

 書き間違えても、修正して再生成すればOK。縦書き日本語にも対応しており、試しに一文字だけ作ってみるのも自由です。ユーザーからは「フォント作るのって難しい!」「みんなも軽率にフォント作るといい」といった声が寄せられています。

■ 「書いて、生成して、すぐ使える」技術はAIと既存ライブラリを活用

 ツールを公開したのは、「駅名標ジェネレータ」などでも知られる、書体・フォント研究者のばっとさん。今回の開発についてこう語ります。

 「十数年前から“手書きフォントアプリ”を作りたいと思っていましたが、当時は携帯アプリの開発コストが高く断念していました。紙に書いてスキャンしてフォント化する方法も試しましたが、文字数が多くて大変で……。今回はバイブコーディングの練習も兼ねて、Webで完結する仕組みを作ったんです」

「手書きフォント生成ツール」

 開発にあたっては、画像をアウトライン化する「potrace」のJavaScript版や、フォントを生成できる「opentype.js」といったライブラリを活用。プログラミングの多くはAIに任せながら進め、開発期間はおよそ1か月だったそうです。

 当初は単純な文字入力ツールの予定でしたが、容量や処理速度の問題を解決する中で「すべてブラウザで完結する」仕様に行き着いたといいます。

 さらに公開後は、ユーザーの声を受けて機能も進化。筆圧対応モードやブラシ機能、消しゴムツールが追加され、Apple Pencilなどを使うと、より自然な筆跡で文字を書くことができるようになりました。

筆圧対応モードやブラシ機能、消しゴムツールが追加

 「実際にやってみると、フォントを作る大変さが分かります。市販フォントがいかに丁寧に作られているかを実感してもらえたらうれしいです」とばっとさん。

 そんな作者の期待に応えるように、すでにユーザーの間では、漫画の擬音文字やオリジナルキャラクター用の架空文字など、自由な発想での活用が始まっているようです。

■ 手書きフォント生成ツールを実際に試してみた

 そこで、今回は実際に記者も体験してみることに。ツールはばっとさんのポストからページにアクセスすることで利用可能です。

ツールはばっとさんのポストからページにアクセスすることで利用可能

 本来はスマホやタブレット推奨とのことですが、あえてPCのブラウザから挑戦。マウス操作でフリーハンド入力していきます。

あえてPCのブラウザから挑戦。マウス操作でフリーハンド入力

 最初に取りかかったのはアルファベットと半角記号。……これだけでも相当な文字数で、書き進めるうちに「フォント職人の苦労はこんなにも!」と実感させられます。

アルファベットと半角記号だけでも大変

 さらに、ひらがな・カタカナ・漢字にまで手を伸ばすと、気が遠くなるほどの作業量。まさに制作者のばっとさんが語る通り「フォントづくりの大変さ」が身に染みて分かりました。

ひらがな・カタカナ・漢字にまで手を伸ばすと、気が遠くなるほどの作業量

 試しにアルファベットと記号だけを入力して生成。ダウンロードしたOTFファイルをPCにインストールすると、すぐにシステムフォントとして使えるようになりました。

ダウンロードしたOTFファイルをPCにインストールすると、すぐにシステムフォントとして使えるように

 実際に文字を打ち出してみると……どこか拙さが残るながらも味わい深い仕上がりに。自分のクセ字がそのままフォントになっているのを見た瞬間、ちょっとした感動があります。

こか拙さが残るながらも味わい深い仕上がりに

 現バージョンでも十分「自分だけのフォント」を実感できました。手軽に遊んでみたい初心者はもちろん、本格的に全字種をそろえて「自分専用フォント」を作りたい上級者まで、幅広く楽しめそうなツールです。

 今回の実験で分かったのは、「フォントづくりは大変、でも楽しい」ということ。1文字1文字に向き合う中で、自分の文字が持つ個性を改めて知ることができました。「自分の字をそのまま作品にしたい」「漫画や創作で専用フォントを使ってみたい」そんな思いを持つ人にとって、この手書きフォント生成ツールは強い味方になってくれそうです。

 「このツールがどんな作品につながるか、私自身も楽しみにしています」とばっとさんも語るように、あなたの“クセ字”も、世界にひとつだけのフォントとして息づく日が来るかもしれません。

<記事化協力>
ばっと butさん(@buttaiwan

(取材:天谷窓大/執筆:山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025092601.html
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