はじめに
台湾で牛肉、と言えば、牛肉麺や牛肉湯が定番というイメージを持つ人が多いのでは。あるいは火鍋で薄切り肉をしゃぶしゃぶとしていただく。そんなふうに部位へのこだわりが希薄だった時代は過ぎ、近年は希少部位を楽しむ層が急増中。そんなニーズに応え、牛肉の可能性を示してくれるのが台南発祥の「牛五蔵−肉鍋×塩ホルモン」。ミシュラン・プレートに選出されたことでも話題です。そしてこのほど、台北の東に位置する汐止に台北分店をオープン。牛肉ラバーは要チェックです。新鮮な台湾牛の味は格別。希少な部位を鍋で食す。
台南発の火鍋店「牛五蔵−肉鍋×塩ホルモン」は、業界での20年超の経験を生かし、2018年に開業。そのわずか4年後の2022年には、ミシュラン・プレートに選ばれる快挙を成し遂げた実力派レストランです。人気の秘密は素材の確かさ。毎日、厳選した黒母牛から選りすぐりの部位を仕入れて調理。台湾牛にこだわりと熱意を持ち、究極の味と技の伝承を追求し、濃厚で甘みのある鍋スープ、とろけるような食感のお肉を提供。多くの人々がこの美味しさに魅せられています。牛ベースの鍋だしは2種類。迷ったときにはオシドリ鍋というチョイスも!
「牛五蔵」の主力メニューは鍋。牛ベースの鍋だしは2種類あり、《台湾牛骨鍋》は牛骨に新鮮な野菜と昆布を加えて煮出したスープ。透き通った見た目からは想像できないほど濃厚で、滋養豊富でゼラチン質もたっぷり。口に含むと、濃厚なのにピュア、ぽかぽかするのに滑らか…そんな感覚が訪れ、一口また一口と飲みたくなる味わいです。具材もボリューミーで、肉類では、厚切りのブリスケ(前バラ・肩バラ)と厳選肉のサイコロ、テールの中華風煮込み。野菜類では、湯葉、キャベツ、コーン…と盛りだくさん。もうひとつは、痺れる辛さのソウルフルな味わいの《牛骨麻辣鍋》。牛骨と新鮮な野菜に加え、33種の漢方食材と6種の胡椒類で煮込んだスープで、お鍋の中には、こぶし大の鴨の血豆腐と木棉豆腐が入っています。具材は魚肉団子、乾燥唐辛子、甘とうがらしなど。辛さよりも香りの良さが際立つ味わいで、飽きることなくいただけるお鍋です。
“どちらも美味しそうでスープを選べない!”という人は、仕切りのあるオシドリ鍋でいただく《鴛鴦鍋》を。2種類の鍋だしが楽しめて満足度大!です。
シェフが慎重に切り分け!焼肉でおなじみの希少部位を鍋でいただく贅沢。
これらの鍋の主役は、毎日、台南から直送されてくる常温牛。ナンバーワン牛の黒母牛から、さらに厳選したものを、シェフが自らの目で確認しながら部位ごとに切り分けていきます。一頭からわずかしか取れないザブトンやフランクをはじめ、ヒレやブリスケなど、とっておきの部位を提供しています。黒母牛の臀部とモモ部分の《台灣牛赤身》は、甘味と弾力ある歯応えが特徴。《嚴選台灣牛》は、サシが比較的多めのお肉。大理石の模様のようにサシが入った赤身・フランクは、重たすぎず、歯触りがよく柔らかです。
こだわりの台湾牛の美味しさを逃さずいただくには、鍋に入れて3〜4秒、軽くしゃぶしゃぶして、火が5〜7分通ったら、そのまま、あるいはタレにつけてどうぞ。台南流に、千切りのショウガと甘めのとろみ醤油だれ、辛めのトウバンジャンでいただくと、独特の風味が加わって一層美味。輸入肉に負けない確かな味わいを体験してください。
事前予約のみで提供している《圈圈肉》は、知る人ぞ知るメニュー。こちらは黒母牛一頭からわずか2.5kgしか取れない希少部位の極上ザブトンを独自の手法で切り出しました。注文を受けてから切り出すお肉は、うずまき状のサシが特徴的。牛脂の香りと肉汁が口いっぱいに広がる美味しさです。日本では極上ロース、極上カルビとして提供されている高級肉を鍋でいただく贅沢をぜひ。
また、牛肉が食べられない人は、鶏ガラベースの《黄金雞白鍋》や豚骨ベースの《豚味濃骨鍋》という選択が可能。どちらも牛肉スープに劣らない滋味深い味わいです。
台湾では珍しい牛ホルモンが勢揃い。
「牛五蔵−肉鍋×塩ホルモン」では、台湾牛以外にも、他ではあまり見かけない内臓部分を提供しています。そうしたホルモンの調理法への研究開発にも力を入れていて、例えば、牛ホルモンの盛り合わせは湯通しすると良い等々の工夫を重ねています。第3の胃であるセンマイは、コリコリとした弾力が魅力。新鮮なレバーはツルリとして滑らか、マメは柔らかくも噛みごたえのある食感が特徴。シマチョウは適度な脂と歯応え、ハツモトは、別名“コリコリ”と呼ばれる通り、コリコリした食感が楽しめるホルモンです。台湾らしい味付けが魅力!野菜&肉炒めも必食。
鍋料理のほかにも、炒め物も充実していて、イチオシは、肉料理に多用されるアブラナ科のカイランサイと牛肉を炒めた《快火醬爆芥蘭牛》。自家製の沙茶醬で味付けした一皿です。 地元産のタマネギ、日本の塩胡椒、香辛料を利かせ、牛ヒレをさっと揚げて強火で素早く炒めた《椒鹽爆炒骰子牛》は、箸が止まらないおかずです。ご飯とスープでササッといただく軽食も大満足!
どちらもコシヒカリの白飯がすすむ味わいですが、ご飯ものでは《台灣牛燥飯》もおすすめ。ご飯の上には、独自の材料を黄金比率で合わせた特製中華ダレでブリスケを煮込んで作った肉そぼろ。付け合わせの漬物は日本のたくあん。肉そぼろが脂っこくなく滑らかで、スルスルといける美味しさです。 ご飯ものは、アツアツの牛スープとの相性も抜群です。なかでも《牛大板筋肉湯》は、シェフが特別に選んだ厚切りブリスケの甘みと柔らかさがポイント。ひとりの時や軽めの食事ならば、この牛肉湯と牛燥飯で十分といえそうです。また、静岡産のほうじ茶を味わいつつ、ほっと一息つきながら美食の余韻にひたれます。鍋料理のスープは持ち帰ることができ、ミシュランが認めた台南最強スープを自宅で引き続き楽しむことができます。
おわりに
台湾牛の魅力を最大限に引き出す「牛五蔵」、今年は台南から北上を果たし、南港展覧エリアにある冨士大飯店の3階に台北店をオープン。火鍋店は数あれど、牛肉のバリエーションが豊富な鍋は希少です。そこにあるのは奥深き牛肉鍋の世界、ぜひ一度ご賞味あれ。◆牛五蔵−肉鍋×塩ホルモン
台北店分店
住所:新北市汐止區大同路一段 128號富士大飯店3F
電話:+886-2-2691-8618
台南店總店
住所:台南市安平區建平路577號
電話: +886-6-297-0709