車の人気を測るバロメーターは大きく2つあります。一つ目は新車の納期です。人気の高い車種によっては納車まで数年ということもあります。そして、もう一つが売却の際の買取りや下取り価格などでの残価率です。中古車は新車と異なり人気が価格に影響するため、新車時価格が同じでも残価率は異なります。国産、輸入車約150車種の残価率を調べて判明した、値崩れしにくい車のランキングを紹介します。
- 特別なモデルを除いて国産車で最も値崩れが少なかったのはスズキ「アルトワークス」、輸入車はジープ「ラングラー」
- 国産はトヨタ、MT車、SUV、軽自動車が値崩れしないキーワード。輸入車はメルセデス・ベンツとSUVが圧倒的
- 値崩れしにくいボディカラーはパール(白)、ブラックが鉄板、ミニバンや軽スーパーハイトワゴンではエアロ系モデルも強い
値崩れしない国産車TOP15はコレだ!
最初の車検サイクルを迎える2021年式の国産車(現行、旧型、生産終了)のうちOEM供給車を除いた約100モデルの中から残価率の高い値崩れしづらいTOP15を選んでみました。ボディタイプでは、ミニバンが4車種、スポーツカーが2車種、SUVが4車種。そして軽自動車が6車種となっています。
順位 | 車種名 | 新車時価格 | 買取相場 | 残価率 |
---|---|---|---|---|
1 | スズキ「アルトワークス」4WD 5MT | 149.8万円 | 132万円 | 88.11% |
2 | トヨタ「ヤリスクロス」 HV Z 2WD | 234.9万円 | 205万円 | 87.27% |
3 | トヨタ「RAV4」 HV アドベンチャー4WD | 373.2万円 | 325万円 | 87.08% |
4 | トヨタ「GR86」 RZ 6MT | 304.4万円 | 264万円 | 86.72% |
5 | 日産「フェアレディZ」 バージョンST 6MT | 472.6万円 | 408万円 | 86.33% |
6 | トヨタ「アルファード」 HV Sタイプゴールド | 458.1万円 | 395万円 | 86.22% |
7 | ホンダ「フリード」HV Gホンダセンシング2WD | 198.4万円 | 171万円 | 86.18% |
8 | トヨタ「RAV4」 PHV GZ | 453.6万円 | 390万円 | 85.97% |
9 | 三菱「デリカD:5」 Gパワーパッケージ | 378万円 | 322万円 | 85.18% |
10 | トヨタ「ライズ」1.0Z 2WD | 187.2万円 | 159万円 | 84.93% |
11 | ホンダ「S660」 モデューロX 6MT | 276.6万円 | 234万円 | 84.59% |
12 | ホンダ「N-ONE」 RS 6MT | 181.8万円 | 153万円 | 84.15% |
13 | スズキ「スペーシアカスタム」XSターボ4WD | 171.2万円 | 143万円 | 83.52% |
14 | スズキ「ハスラー」Xターボ2WD | 146.6万円 | 122万円 | 83.21% |
15 | トヨタ「ノア」2.0Si W×BIII 2WD | 264.5万円 | 218万円 | 82.41% |
*買取相場と残価率は3年落ちの2021年式、走行距離2.4万km(年間平均走行距離8000kmで計算)を基準に算出。この算出した価格はあくまでも参考価格です。実際には走行距離、車のキズや凹みといった状態、事故歴、ボディカラー、地域などによって変動します。なお、人気が高すぎて買取価格が新車時価格を上回ってしまうため算出できない車種を除外しています。
●圧倒的な強さを誇るトヨタ車と軽スポーツモデルが上位にランクイン
第1位となったのは、多くの人の予想に反して軽自動車の生産終了モデルであるスズキ「アルトワークス」4WDの5MT車。なんと3年落ちの残価率は約88.11%とほとんど値崩れしていません。このアルトワークス以外でも、軽自動車のMT車はホンダ「S660」、「N-ONE」もランクイン。手頃な価格で購入できる軽MT車の人気は高いことがわかります。
また、MT繋がりで言うと、トヨタ「GR86」と日産「フェアレディZ」が86%以上という高い残価率を示しています。スポーツカー人気は健在といったところでしょうか。
ミニバンでは、旧型のトヨタ「アルファード」、「ノア」、ホンダ「フリード」、そして現行型の三菱「デリカD:5」がランクイン。アルファード、ノアは旧型なので、現行型はさらなる高い残価率が予想できます。ミニバンには人気車の値崩れはないという法則が以前からあり、今回もやはりそれが当てはまりました。予想外に健闘しているのが、デリカD:5。ミニバン+SUV+ディーゼルエンジンという唯一無二の存在が固定ファンのハートをしっかりつかんでいるのでしょう。
安定した人気を誇るSUVではトヨタ「ライズ」、「ヤリスクロス」、「RAV4ハイブリッド」。「RAV4 PHV」と上位にランクインしているのはトヨタ車のみとなっています。RAV4と同じミドルサイズSUVにハリアーがありますが、残価率はよりアウトドアユースを重視したRAV4が上回っているのは興味深いところです。
軽自動車では、スポーツモデルを除くとスペーシア、ハスラーといったスズキ車がランクイン。スペーシアカスタムはフルモデルチェンジしたにも関わらず残価率80%超えとなっており、N-BOXをリード。最近の新車販売台数でもスペーシアがN-BOXを上回ったことがニュースになっていましたが、中古車市場での旧型スペーシアも健闘しているようです。
1位:スズキ「アルトワークス」(旧型)
旧型スズキ「アルト」に設定されたアルトワークスは2015年12月、約15年振りに復活したスポーツモデルです。ひと足先に発売されたアルトターボRSをベースに、搭載する最高出力64psを発生する660ccの直3ターボエンジンは最大トルクをベース車の98Nmから100Nmへと高めるだけでなく、アクセルレスポンスを向上させ、ペダル操作にダイレクトに反応する加速フィーリングを実現。さらに、専用の味付けを施したショックアブソーバーを採用し、より高い操縦安定性、接地感そして応答性を両立させています。そのアルトワークス4WDの5速MT車が残価率88.11%で国産車の値崩れしにくい車の第1位となりました。すでに生産終了となっており後継モデルも不在のままなので、今後さらなる値上がりする可能性もあります。
2位:トヨタ「ヤリスクロス」
値崩れしにくい国産車の第2位となったのは、残価率87.27%のトヨタ「ヤリスクロス」です。ヤリスクロスは2020年から販売開始されたコンパクトSUV。名前のとおり、コンパクトカーヤリスのクロスオーバーモデルです。1.5Lガソリン車と1.5Lエンジンのハイブリッド車を用意し、ハイブリッド車の最上級モデルZ2WDが残価率87.27%となりました。白(パール)のボディカラーや人気のオプション装備を装着すればさらに高い残価率が期待できます。現在、新車は受注停止となっていますのでオーダーできません。1日も早く再開してもらいたい車種です。
3位:トヨタ「RAV4」
2019年4月に登場した現行型トヨタ「RAV4」のハイブリッド車が残価率87.08%で値崩れしにくい国産車第3位となりました。SUVらしい力強さと洗練さを融合したデザインを採用。搭載されているパワートレインは2L直列4気筒ガソリンエンジン。そして2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムの2種類。そして新搭載された4WDシステムにより優れた走行性能を実現しています。最も高い残価率を記録したのが、オフロードイメージを強調したアドベンチャーのハイブリッド車でした。トヨタには同じミドルサイズSUVとして人気の高いハリアーがありますが、RAV4のほうが残価率は高くなるという予想外の結果でした。ラグジュアリーなハリアーではなくタフギア感のあるRAV4のほうが、中古車市場の主役である若者層に人気があることを反映しているのではないでしょうか。
4位:トヨタ「GR86」
2021年4月に登場した現行型GR86が値崩れしにくい国産車第4位です。中でも最上級グレードのRZ 6速MT車が86.72%という高い残価率を記録しました。先代で採用した超低重心FRパッケージを継承しつつ、どんな速度域でも「走る楽しさ」を感じられるハンドリング性能を目指して、ねじり剛性を従来型比約50%向上させるなどボディ剛性を向上させることにより、操縦安定性を高めています。搭載するエンジンは、従来型の2L水平対向4気筒から、新型は2.4Lへと排気量をアップ。最高出力は235ps(+28ps)、最大トルク250Nm(+38Nm)とパワーも向上。組み合わされるトランスミッションは6速MTと6速ATを用意。最新モデルには、運転支援システムのアイサイトがどちらのミッションにも設定されています。
5位:日産「フェレディZ」(旧型)
値崩れしにくい国産車の第5位は、2008年12月に登場したZ34型と呼ばれる日産「フェアレディZ」です。先代モデルより100mmホイールベースを短くし、ねじり剛性をはじめとしたボディ剛性を向上させ、走行性能や旋回性能を向上。搭載するエンジンは3.7L V型6気筒自然吸気で、7速ATを中心にグレードによって6速MTも組み合わされている2シータースポーツカーです。残価率86.33%を記録したのは、バージョンSTの6速MT車ですが、カスタマイズモデルのNISMOならば、さらに高い残価率が期待できます。そしてビッグマイナーチェンジモデルのRZ34と呼ばれる現行型ならば、残価率100%超えは確実です。
6位:トヨタアルファード(旧型)
2015年1月に登場した3代目となる旧型アルファードのハイブリッドSタイプゴールドが残価率86.22%で値崩れしにくい国産車の第6位となりました。旧型アルファードは、2.5Lエンジンのハイブリッドのほか2.5L直4、3L V6というパワートレインを用意。中でも2.5 Lエンジンがダントツの人気で最も人気の高い2.5S Cパッケージは、海外からの引き合いの多さもあって残価率90%を超える人気を誇ります。2023年6月にアルファード/ヴェルファイアはフルモデルチェンジを行っていますが、2021年式がこれだけ高い残価率を示しているのは、旧型となっても人気は健在ということです。
7位:ホンダ「フリード」(旧型)
2016年9月に登場した旧型のホンダフリードが残価率86.18%で値崩れしにくい国産車の第7位となりました。日本の道路事情にマッチした5ナンバーサイズボディに、3列シートをレイアウトしたコンパクトミニバンのフリード。搭載するパワートレインは1.5L直4ガソリンエンジン+CVTと1.5Lエンジン・1モーター+7速DCTというハイブリッドシステムの2種類を用意。駆動方式はガソリン車に加えて、ハイブリッド車にも4WD車を設定していることでライバル車に差を付けています。フリードはフルモデルチェンジ直後ですが高い残価率をキープしています。バランスの良さに加えて衝突被害軽減ブレーキシステムや高速道路での追従走行が可能なアダプティブクルーズコントロールなどの機能がパッケージ化したホンダの先進安全運転支援システムである「ホンダセンシング」を採用しているのも魅力です。
8位:トヨタ「RAV4 PHV」
値崩れしにくい国産車第8位となったのが、トヨタ「RAV4 PHV」です。ハイブリッド車の第3位に次ぐランクインで、RAV4強し!と言った印象です。2020年6月に販売開始したRAV4 PHVは、2.5Lエンジンのプラグインハイブリッドシステムを搭載し、EV走行距離95kmを実現。満タンで1,000km以上走行可能なモデルです。一般的にHVよりPHVのほうが新車時価格は高いため、残価率は下がりやすいのですが、RAV4 PHVはHVと差のない残価率85.97%となっています。
9位:三菱「デリカD:5」
2007年に登場し、2018年に大幅改良を行った個性派ミニバンの三菱「デリカD:5」が残価率85.18%で値崩れしにくい国産車第9位となりました。デリカD:5は様々な道路状況において、乗員や荷物を目的地まで確実に運べる車という歴代デリカの商品コンセプトを継承し、低速から力強いパワーを発生するクリーンディーゼルエンジンや三菱が培ってきた4WD技術、特徴的なフォルムなどによる圧倒的な走破性能に加えて、最新の予防安全技術を採用したオールラウンドミニバンです。国産ミニバンでは唯一、高い経済性を実現しているディーゼルターボエンジンを搭載しているのも人気の秘訣と言えるでしょう。
10位:トヨタ「ライズ」
2019年に登場し、2021年に一部改良を行い、「e-SMART(イースマート)ハイブリッド」を搭載したトヨタ「ライズ」が値崩れしにくい国産車の第10位です。ライズはDNGAによるパッケージング技術を活かして、取り回しの良いコンパクトな5ナンバーサイズながら、大人5人が乗れる広い室内空間と5人乗車時369L+80Lの大容量アンダーラゲッジ(2WD車)という荷室空間を実現しています。84.93%という高い残価率を記録したのは、2021年の一部改良で廃止された1Lターボエンジンの2WD車です。ライズは税金も安い1Lターボエンジンが人気で、現在は4WDしかえらぶことができないため、2WD車が人気となっています。
11位:ホンダ「S660」(生産終了)
2015年に登場し、2022年3月に生産終了した軽オープンカーのホンダ「S660」が値崩れしにくい国産車の第11位です。S660は「見て楽しい、乗って楽しい、あらゆる場面で、いつでもワクワクする」そんな心が昂ぶる本格スポーツカーを追求し、「ハートビートスポーツ」をキーワードに日常を非日常に変える「走る喜び」を味わえる車を目指して開発されました。スポーツカーの醍醐味である曲がる楽しさを最大限に体感できるよう、高い旋回性能にこだわり、MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)のレイアウトを採用。さらに低重心と理想的といわれる前後重量配分である45:55を実現しています。残価率84.59%を記録したのは、2018年5月に追加された専用チューンが施されたS660モデューロXです。すでに生産終了となり後継も期待薄なモデルなので、今後値崩れすることはなかなかないでしょう。
12位:ホンダ「N-ONE」
値崩れしにくい国産車の第12位は2020年11月に登場したホンダ「N-ONE」です。なかでもスポーティなRS 6MT車が残価率84.15%となっています。見た目は旧型とあまり変わりませんが、ボディの高剛性化と同時に防音材を効果的に配置し、さらにエンジンやタイヤから伝わる振動・騒音を低減するパーツを使用するなど優れた静粛性を実現しています。スーパーハイトワゴンが主流の軽自動車の中で、走りにこだわった貴重なモデルです。
13位:スズキ「スペーシア」(旧型)
2017年12月に登場した2代目の旧型スズキ「スペーシア」が値崩れしにくい国産車の第13位です。旧型スペーシアはプラットフォームと呼ばれる車の基礎から一新。高張力鋼板といった素材の使用を拡大し、ボディ剛性の向上と軽量化を両立し、走行性能と静粛性を向上させています。2023年にフルモデルチェンジを行っていますが、2021年式の旧型スペーシアカスタムが残価率83.52%を記録。軽自動車の主力であるスーパーハイトワゴンの中で唯一のランクインとなっています。
14位:スズキ「ハスラー」
2020年1月に登場した軽クロスオーバーモデルのスズキ「ハスラー」が値崩れしにくい国産車の第14位です。軽量と高剛性を両立させた新世代プラットフォーム「ハーテクト」を採用。さらに「環状骨格構造」を形成することで、ボディ剛性を向上。そしてボディのスポット溶接部にスズキ車として「構造用接着剤」を初採用し、ボディ剛性の向上だけでなく、優れた操縦安定性、乗り心地を実現しています。残価率83.21%を記録したのは、Xターボ2WDで、装備が充実したグレードほど残価率は高くなっています。
15位:トヨタ「ノア」(旧型)
値崩れしにくい国産車の第15位は2014年1月に登場したトヨタ「ノア」の旧モデル。このミドルサイズミニバンは2022年にこのノア/ヴォクシーをはじめ、ホンダ「ステップワゴン」、日産「セレナ」と立て続けにフルモデルチェンジを行いました。それでも旧型ノアのガソリン車は82.41%という高い残価率は驚異的。同じノアのハイブリッド車やヴォクシーを抑えて、最も高くなっているのは、お子さんにお金のかかる子育て世代に支持されている車と言うことだと言えるでしょう。
値崩れどころか値上がりしている国産車がある!
今回のランキングはインターネットの誰でも閲覧できる国産自動車メーカーが運営するサイトの買取参考価格をもとに算出しました。検索条件は2021年式の国産車で、現行モデル、旧モデル、生産終了モデル、約100車種をチェックしました。
お断りしなければならないのは、現在人気が高すぎて買取価格が新車時価格を上回ってしまうため算出できない車種を除外した点です。算出できなかった車種は、以下のとおりです。
〈買取価格が新車価格を上回った車種〉
・トヨタ「ランドクルーザー300」
・トヨタ「ランドクルーザープラド」
・日産「GT-R」
・スズキ「スイフトスポーツ」
・スズキ「ジムニー」
・スズキ「ジムニーシエラ」
いずれも新車の納期が長いなど入手難で知られている車たちが中心です。
また、旧型トヨタ「アルファード」は2.5S Cパッケージなど一部人気の高いグレードも買取価格が算出できないため、代わって算出できるグレードを掲載しました。
値崩れしない輸入車ランキングTOP5
フェラーリやランボルギーニといったスーパースポーツカーや、ロールス・ロイス、ベントレーといった超高級ブランドの車を除いた値崩れしにくい輸入車ランキングでは上位5台すべてSUVとなりました。唯一無二の個性派SUVが3車種。そしてメルセデス・ベンツブランドのコンパクトSUVが3モデルとメルセデス・ベンツブランド強し!という印象が強いランキングです。
順位 | 車種名 | 新車時価格 | 買取相場 | 残価率 |
---|---|---|---|---|
1 | ジープ「ラングラー」 スポーツ | 513万円 | 425万円 | 82.84% |
2 | メルセデス・ベンツ「G550」 AMGライン | 1685万円 | 1387万円 | 82.31% |
3 | ランドローバー「ディフェンダー」110X | 1124万円 | 891万円 | 79.27% |
4 | メルセデス・ベンツ「GLB200d」 AMGライン | 553万円 | 434万円 | 78.48% |
5 | メルセデス・ベンツ「GLA200d」 AMGライン | 518万円 | 360万円 | 69.49% |
買取相場と残価率は3年落ちの2021年式、走行距離2.4万km(年間平均走行距離8000kmで計算)を基準に算出。この算出した価格はあくまでも参考価格です。実際には、走行距離、車のキズや凹みといった状態、事故歴、ボディカラー、地域などによって変動します。また算出が難しい一部のスーパースポーツカー、超高級車ブランドは除外しています。
1位:ジープ「ラングラー」
2018年に登場した現行型ジープ「ラングラー」が残価率82.84%で値崩れしにくい輸入車のトップとなりました。ジープラングラーというと、1955年に登場したジープCJ-5のデザインを色濃く継承したモデルで、特に、ヘッドライトの内側が7スロットグリルにまで食い込んだデザインや、台形のフロントフェイシアは、DNAを色濃く残したモデルです。ラングラーは、ジープブランドのコアモデルで、約40%のシェアを占めているモデルです。取り回ししにくい大きなボディながら、熱心なファンに支えられており、高い残価率を記録しています。
2位:メルセデス・ベンツ「Gクラス」
メルセデス・ベンツ「Gクラス」のG550 AMGラインが残価率82.31%で値崩れしにくい輸入車の第2位です。ディーゼルエンジンを搭載している400dならば、もっと高い残価率となるのは間違いないのですが、正確な数値がでませんでした。しかし550AMGラインから考えると90%近い数値がでることでしょう。メルセデス・ベンツGクラスは、1991年に導入されたクロカン系SUVです。2018年に第二世代となり、現在は5ドアモデルのみ。搭載しているエンジンも3L直6ディーゼルターボと4LV8ツインターボの2醜類となっています。日本で火がついたGクラス人気は今や北米などへも波及しており、高い残価率となっています。
3位:ランドローバー「ディフェンダー」
2020年4月に日本市場に導入されたランドローバー「ディフェンダー」が、残価率79.27%で第3位となりました。ディフェンダーは3ドアの90、5ドアの110、サードシートを持つ130と3つのモデル体系があり、この残価率は110のものです。搭載するエンジンは2L直4ターボ、3L直6ターボそして5LV8スーパーチャージャーと豊富なのが特徴です。シャシーに軽量アルミニウム構造で全く新しいアーキテクチャアーである「D7x」を採用。クロカンSUVだった前型のラダーフレーム構造と比較して3倍のねじり剛性を確保するだけでなく、軽量化も両立し、ランドローバー史上最も頑丈なボディ構造を採用することで、高い悪路走破性を実現しています。こちらもGクラス同様、富裕層の流行りモノというニュアンスの強い車種です。
4位:メルセデス・ベンツ「GLB」
メルセデス・ベンツ「GLB」はブランド9車種目のSUVとして2020年6月に導入されました。エントリーモデルのGLAと共通のコンポーネンツを使用していますが、GLBは7人乗り3列シートをレイアウトする優れたパッケージが特徴です。Gクラスを彷彿させるスクエアな外観デザインに最低地上高200mmのロードクリアランスを確保し、高い悪路走破性を実現しています。メルセデス・ベンツGLBの人気グレードは2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載したGLB200dで、残価率は78.48%となっています。メルセデスならではの安心感に加えて使い勝手に優れるモデルという点が値崩れしない理由でしょう。
5位:メルセデス・ベンツ「GLA」
2020年に導入されたメルセデス・ベンツのスタイリッシュな都市型SUVのGLAが、残価率69.49%で値崩れしにくい輸入車の第5位となりました。エントリーモデルであるAクラスをベースとしたSUVで、クーペのようなスタイリッシュな外観が特徴です。最低地上高は約200mm確保され、高い悪路走破性だけでなく、優れた乗降性を実現しています。人気グレードは最高出力150ps、最大トルク320Nmを発生する2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載したGLA200dで、残価率69.49%もこのグレードの数字となっています。メルセデス・ベンツのステータスを手軽に手に入れられるSUVという点で支持されています。
値崩れしない車の特徴
カテゴリーの一番人気もしくは、ほかの車にはないオリジナリティ溢れる性能をもつ車は値崩れしにくい車の共通点です。以下に詳しく解説していきましょう。
値崩れしないボディタイプの傾向
値崩れしにくいボディタイプは、ランキングを見る限り、国産車はミニバン、SUV、スポーツカーです。コンパクトカーやセダンといったボディタイプは一部のスポーツモデルを除いて値崩れしやすくなっています。また軽自動車ではスポーツモデルのMT車が値崩れしにくい傾向が強くなっています。輸入車では、圧倒的にSUVが値崩れしにくいということがランキング表れています。
値崩れしないメーカーの傾向
ランキングを見れば、国産車ではトヨタが圧倒的に値崩れしにくいことが表れています。それは、各カテゴリーで1番人気の車を多くラインアップしているから。軽自動車ではスズキのランクインが目立っています。ホンダはスポーツモデルのMT車のみですが、スズキはスペーシアやハスラー、エブリイワゴンといったモデルが残価率80%を超えています。逆に苦戦しているのが日産、マツダ、三菱、そしてダイハツ。ダイハツは、認証不正の問題もあり、今後しばらくは弱含みの展開が続くといえるでしょう。輸入車はメルセデス・ベンツの強さが如実に現れています。定番の高級車かつ実用的な部分でも定評のあるメルセデス・ベンツの人気は揺るがないようです。
値崩れしにくいカラーや装備はコレ
スズキ「ジムニー」や「ジムニーシエラ」、日産「GT-R」のような特殊なモデルはボディカラーの違いによる差はほとんどありません。それは車自体に稀少性が高いからです。しかし人気車種であってもトヨタ「アルファード」のようなミニバンではボディカラーの違いによって残価率は大きく異なってしまいます。パール(白)、ブラックは鉄板の人気色ですが、それ以外は残価率が下がる傾向があります。一般的にはパール(白)、ブラックにシルバーも加えた3色が値崩れしにくいカラーとされています。
また、ミニバンや軽スーパーハイトワゴンでは、エアロ系と呼ばれる押し出し感のあるデザインを採用したモデルが人気です。軽自動車であればカスタムという名前が付いていることの多い車種です。男性のみならずエアロ系の人気は女性ユーザーにも及んでおり、新車の販売台数もエアロ系が多いモデルが大半です。
装備面では、ボディタイプによって異なりますが、ミニバンでは両側パワースライドドア、リアエンタテインメントシステム、本革のリクライニングシートが人気のアイテムです。SUVの場合はサンルーフ、特に大型サンルーフを装着していると値崩れが少なめな傾向があります。
専門家予想!話題の新型車はどっちが値崩れしない?
各ボディタイプの人気モデル同士を比較してどちらが値崩れしにくいかを専門家が大胆予想します。
ホンダ「N-BOX」vs スズキ「スペーシア」~軽スーパーハイト編
旧型のホンダ「N-BOX」とスズキ「スペーシア」の残価率を比較すると、N-BOXカスタムの約71%に対して、スペーシアカスタムは約83.5%と圧倒的にスペーシアが高くなっています。新車時はN-BOXの方が圧倒的に売れていました。それによって中古車の流通台数もN-BOXが多いことが影響していると思われます。しかし、新型同士ではどうでしょう。先日発表された24年5月の軽自動車新車販売台数ではスペーシアがN-BOXを逆転。マルチユースフラップなど様々な新装備を採用したこともあり、現行型スペーシアはN-BOXとの差を詰めています。中古車の流通量という点では3年後に両車の差は少ないことが予想されます。とはいえ、あまり変わり映えのしなかった新型N-BOXよりも話題性のある新型スペーシアの方が値崩れしにくいと予想します。
トヨタ「ヤリス」vs 日産「ノート」~コンパクトハイブリッドカー編
トヨタ「ヤリス」HV 2WDの残価率は約73.3%。対して日産「ノート」は約70.9%とわずかの差でヤリスがリードしています。ノートの場合、ナビゲーションなどがオプション装備となっており、これらを装着すると新車時の価格はさらに上がるので、残価率はさらに差が付いてしまいます。またノートはマイナーチェンジで顔つきが変わってしまい、賛否両論となっています。この点も含めてヤリスの優位性は揺るがないでしょう。ただし、ヤリスはハイブリッドでない1Lのガソリン車はもっと低くなることには注意したほうが良いと思います。
ホンダ「WR-V」vs トヨタ「ライズ」~コンパクトSUV編
国産SUVの中で、最も熱いのがコンパクトクラスです。そのベストセラーモデルであるトヨタ「ライズ」は、残価率約84.9%でTOP15にランクインしています。しかしこれは、前期型のみに設定された1Lターボ2WD車です。ハイブリッド車や1.2L車より税金の安い1L車の人気が高いからです。ライバル車と言えるホンダ「WR-V」ですが、全長4.3mの3ナンバーボディにハイブリッドの設定もない1.5Lエンジンのみでは、全長4.0mの5ナンバーボディでコンパクト、そして燃費の良いライズの人気を揺るがすことはないと見ています。
マツダ「CX-5」vs トヨタ「ハリアー」~ミドルSUV編
今回残価率を調べて、一番気になったことは国産ミドルサイズSUVで人気の高いトヨタ「ハリアー」が約77%と同じクラスのRAV4にリードされたことです。とはいえハリアーの残価率は決して低いものではなく、むしろRAV4が特に若者に人気があるため価格的に新車より買いやすい中古車市場で引っ張り凧なのでしょう。2017年に登場し、モデルライフの長いマツダ「CX-5」の残価率は約69.8%とハリアーの数字には及ばないものの、以前のマツダ車に比べると健闘しています。とはいえ3年後でも現行モデルである可能性の高いハリアーがCX-5よりも有利です。
余談ですが、日本一売れているPHEVと言われている三菱「アウトランダーPHEV」の残価率は約73.5%とこちらも健闘しています。国産ミドルサイズSUVは人気のカテゴリーであり、現在はRAV4が圧倒的にリードしていますが、今後はe-POWERで人気の日産「エクストレイル」を含めてこのクラスは混戦となるのではないでしょうか。
トヨタ「シエンタ」vs ホンダ「フリード」~コンパクトミニバン編
今回、残価率を調べたのはトヨタ「シエンタ」、ホンダ「フリード」ともに旧型で、残価率はシエンタが約70.7%。対してフリードは約86.1%でした。旧型のシエンタは運転支援機能がフリードに比べて物足りないという点、そしてすでにフルモデルチェンジして2年が経過しているということが影響しています。現行型シエンタでは運転支援機能が充実していることに加えて、欧州車のようなスタイリングも好評でこの残価率の差は縮まる可能性が高いのは間違いありません。とはいえ、登場したての新型フリードも初期受注が絶好調です。そしてミニバンとしての機能は3列目シートを中心にフリードが一歩リードしていますが、個人的にはスタイルが大きく変わったシエンタが有利ではないかと見ています。
日産「セレナ」vs トヨタ「ノア/ヴォクシー」~ミドルミニバン編
旧型同士で調べた残価率は、トヨタ「ノア/ヴォクシー」が約82%に対して、日産「セレナ」はe-POWERでも約59%と大差が付いています。これは新車販売台数のランキングどおりで人気という要素が大きく影響していると言えます。ノア/ヴォクシー、セレナともに2022年にフルモデルチェンジを行い、世代交代していますが、この図式が崩れることはなく国産ミドルサイズミニバンはホンダ「ステップワゴン」をまじえたとしてもノア・ヴォクシーのひとり勝ちが続くでしょう。
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よくある質問
Q1:トヨタ車で値崩れしない・価格が落ちない車は?
A:各ボディタイプで人気NO.1の車種を揃えているトヨタ。ファミリーカーの定番であるミニバンでは、アルファード/ヴェルファイアをはじめ、ノア/ヴォクシー、シエンタと全てのモデルが値崩れしにくいです。ほとんどのモデルがこの2年ぐらいでモデルチェンジしたばかりなのでしばらく高い残価率をキープするでしょう。そのほかSUVでは、ランドクルーザー系をはじめ、RAV4、ヤリスクロスなどが値崩れしにくいです。
Q2:値崩れしない・価格が落ちないミニバンは?
A:トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」をはじめ、「ノア/ヴォクシー」、「シエンタ」。ホンダは「フリード」と「オデッセイ」、そして三菱は「デリカD:5」が当てはまります。オデッセイはトップ15に入っていませんが、次点の80.4%でした。こうして見ると、ミニバンはコンパクトクラスとラージサイズクラスが値崩れしにくいと言えます。
Q3:値崩れしない車とはどういう車?
A:数年後の下取りや買取価格となる残価率が高い車を指します。この残価率が高ければ、新車時価格からの価格の下落幅が小さいため、次の車に乗り換える時などの支出を抑えることができます。カテゴリーの一番人気、もしくはほかの車にはないオリジナリティ溢れる性能をもつ車が値崩れしにくい車の共通点です。生産数に限りがあるスポーツカーやクロカン系SUVなども値崩れしにくい車と言えるでしょう。
※この記事は2024年6月時点の情報で制作しています