JRの在来線が乗り放題になる青春18きっぷと高速バスを組み合わせると、旅の選択肢は無限に広がります。
今回は高速バスで上野から弘前へ向かい、弘前からは青春18きっぷを使って、車窓からの眺めが美しいことで知られる五能線を満喫しながら新潟まで南下する旅を紹介します。
やっぱり青春18きっぷがお得! 弘前駅から新潟駅まで2,370円
上野から高速バス「パンダ号」に乗車し、早朝、弘前バスターミナルに到着。今回は、ここから日本海沿いを新潟まで南に下っていきます。
在来線を利用して弘前駅から新潟駅まで移動した場合の通常運賃は7,020円ですが、青春18きっぷを使用すれば2,370円ですみます。青春18きっぷとは改札で日付のスタンプを押してもらうと在来線が1日乗り放題になる魔法のような切符なのです。
在来線に乗る前に弘前市内のスタバでスマホを充電
弘前には5時30分に到着しました。本来、新潟駅まで在来線で行こうとすると、内陸部を秋田県へ南下していく6時25分発の奥羽本線を利用するのが普通です。
しかし、今回は、弘前駅から青森県南西部の沿岸をなぞるように走り、日本海の眺めが美しいと言われる五能線を利用します。
乗車するまでの間は、朝の弘前駅をゆっくり散策します。弘前の街は歴史のある建造物が多く、歩いていると楽しい街なんですよね。
せっかくなので弘前公園前の登録有形文化財を利用したスターバックス(7時に開店)で朝食を。在来線の車内には電源がないので、ここでスマホの充電もしておきます。
川部駅で進行方向がスイッチ! 海側の席に座りたい方は要注意
弘前駅に戻り、いよいよ五能線の旅が始まります。ちなみに五能線は観光列車「リゾートしらかみ」も走っており、そちらには青春18きっぷにプラス520円して指定席を購入すれば乗車できます。
「海側に座りたいのであれば進行方向右側」とインターネットで調べ、弘前駅を出発する際、右側に乗りました。が、出発から7分後、川部駅で列車の進行方向が変わり、海とは逆の左側の席になってしまいました。
しかし、左側もいいんです。りんご「ふじ」発祥の地である藤崎駅あたりから、木々の向こうに見える岩木山が美しいです。
海岸をなぞるように走る「五能線」! 車窓からの眺めは最高
平日だったこともあり、地元の乗客が降りるタイミングを見計らい、進行方向右側の席に移りました。
鳴沢駅を超える頃、海が現れます。北金ヶ沢駅で8分ほど停車。席を立って、一度、ホームに下車します。リクライニングがないシートなので、こうした停車時間を利用し、立ち上がって身体を動かしておくだけで疲労度は全く違います。
ここからは昔、殿様が千畳の畳を敷いて宴を開いたことで知られる千畳敷海岸など素晴らしい日本海の景色が続いていきます。
海が目の前に見える驫木駅から追良瀬駅の区間は、JRのポスターに登場したことがあるほど美しい車窓からの眺めが楽しめます。海岸をなぞるように走る路線は最高です。
電車の速度もゆっくりになり、車窓の景色にうっとりして……こうして1カ所目の乗り継ぎ駅である深浦駅に到着します。
乗り継ぎの時間が長いときは迷わず改札を出て散策!
深浦駅での乗り継ぎは、次の列車の出発まで1時間以上待たなければいけません。乗り継ぎの時間が長いときは、迷わず改札を出て散策します。乗り降りが自由なのは青春18きっぷの大きなメリットです。
国道から伸びる距離約100メートルの遊歩道を歩いて大岩へ。洞窟内の階段を上り、岩上の展望台から日本海360度のパノラマビューを楽しみます。
深浦駅を出発する頃から徐々に曇ってきました。曇り空の日本海も、これまた風情があって美しい。
車内ではご高齢の方々が津軽弁で雑談していました。全く聞き取れませんが温かい気持ちになります。方言っていいですね。
大間越駅を越え、青森県から秋田県へ。八森駅を越えると車窓からみえる景色が海から内陸部の景色へ徐々に変わり、五能線の終着駅である東能代駅に到着します。
観光地でない駅で降りるのも青春18きっぷの楽しみのひとつ
東能代駅では、次の奥羽本線「秋田行き」の出発まで1時間待ち。ショッピングセンターや飲食店の多いひとつ手前の能代駅で降りて散策し、「秋田行き」の出発時間にあわせて次の電車で東能代駅へ戻るのも手です。
でも僕は、観光地ではない駅で降りるのも好きです。住宅地を歩き、村の神社に手を合わせるなど、そうした駅の周辺を散策した時間が意外に記憶に残るものです。
東京には、高速バスで帰るか? 1泊して青春18きっぷで帰るか?
東能代駅から奥羽本線に入ると、ボックス席ではなく、ロングシート(縦座席)になりました。通勤客の帰宅時間と重なり、車内も混んできて、車窓より車内の人物観察の方が楽しくなってきます。
秋田駅から羽越本線で山形県に入ると、徐々に陽が暮れていき、車窓からみえるのは夜の風景になっていきます。0番線のある酒田駅を経由し、新潟県は村上駅へ。
村上駅で新津行きに乗り換え、新発田駅から白新線に入り新潟駅へ。こうして本日の旅の終着駅へと向かいます。
さて、この後、どうするか。この日は新潟駅に23時34分着だったので、東京行きの深夜バスに乗って車中泊で戻るという選択肢もあります。
途中、どうしてもここで下車して歩きたい! と予定を変更(これも青春18きっぷの魅力)、もしくは沿線トラブルで電車が遅れて高速バスに間に合わないという可能性も大いにあります。なので、前もって帰りのバスを予約しておくのはおススメしません。
今回、僕は新潟のホテルに宿泊し、翌日ゆっくり青春18きっぷで東京まで戻りました。
在来線でのんびり進む青春18きっぷの旅。
高速バスと組み合わせて、ぜひあなただけの旅をお楽しみください!