全国各地から紅葉の便りが届きはじめました。東日本では既に見頃を迎えている2025年の紅葉シーズン。今年はどこに行こうか悩んでいるという方も多いのではないでしょうか?今回は全国各地の日本気象協会のキャスターが、おすすめの紅葉スポットをリレー形式で紹介します。

2025年の紅葉見頃予想(2025年11月6日発表)
11月6日に日本気象協会が発表した第3回「紅葉見頃予想」によると、2025年の紅葉の見頃は、全国的に平年より遅い所が多い予想です。
紅葉の見頃は、秋(9~11月)の気温が低いと早まり、高いと遅くなります。9月から10月中旬にかけて、全国的に気温は高くなりましたが、10月下旬以降は北・東日本を中心に平年より低くなりました。
この先11月は、北日本ではたびたび寒気の影響を受けますが、東・西日本では寒気の影響は弱く、気温は平年より高くなる見込みです。そのため、これから見頃を迎える東日本の平野部と西日本の紅葉の見頃は遅くなる所が多いでしょう。

【北海道】大沼国定公園
既に初雪が観測されている北海道では、例年9月下旬から10月下旬が紅葉の見ごろです。既に落葉している場所も多いですが、道南ではまだ紅葉も楽しめる場所も。そんな道南からご紹介するのは大沼国定公園です。
大沼国定公園は函館市より北に位置する七飯町、鹿部町、森町にまたがり、全国で最も古い自然公園の一つです。アクセスも良く、函館から車で約40分、最寄り駅であるJR大沼公園からは徒歩5分の位置にあります。

紅葉の最盛期には絵画のような美しい景色を楽しむことができ、湖に反射した紅葉の姿もとても魅力的です。湖畔の周遊道路沿いでは鮮やかなオレンジや黄色に染まった景色に囲まれながら、散策することもできます。
紅葉シーズンを過ぎ、葉が落ちると野鳥を見つけやすくなることから、大沼国定公園では野鳥観察を楽しむこともできます。天然記念物のクマゲラをはじめ、数多くの野鳥が観測されている大沼国定公園で、北海道の自然と野鳥が作り出す空間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

【東北】宮城県:松島
既にふもとでも紅葉が見頃となっている東北からは、宮城県の松島をご紹介します。松島といえば、日本三景のひとつ。たくさんの小さな島が浮かぶ景色がとても有名です。
そんな松島でこの季節に訪れたいのは、円通院。松島海岸駅から歩いて5分ほどのところにあり、伊達政宗の孫、光宗公の霊廟として建てられた由緒あるお寺です。庭園の美しさでも知られ、秋になると、赤やオレンジに染まったもみじが庭一面を彩り、静けさの中に紅葉の鮮やかさが引き立ちます。円通院では夜のライトアップも行われていて、参道や庭園が優しい灯りで照らされ、まるで別世界に来たかのよう。昼とはまったく違う、幻想的な雰囲気を楽しむことができます。

【関東】神奈川県:明月院
関東からは神奈川県鎌倉市にある「明月院」を紹介します。
「明月院」といえば、6月のアジサイがとても有名で、別名“あじさい寺”とも呼ばれており、毎年梅雨の時期には多くの人で賑わいます。そんな「明月院」、紅葉シーズンも楽しむことができるのです。
明月院の紅葉は、黄金色のイチョウや真っ赤な紅葉が印象的です。特に、本堂にある円形の“悟りの窓(円窓)”から見える真っ赤な紅葉は、まるで一枚の絵のようです。本堂の奥にある庭園は、ふだんは入れませんが、ハナショウブの時期と紅葉の時期だけ特別に公開されています。

【北陸】富山県南砺市:五箇山
北陸からは富山県南砺市にある、五箇山を紹介します。五箇山は富山県の南西端に位置する地域で、相倉(あいのくら)と菅沼(すがぬま)の2つの集落に、伝統的な合掌造りの家屋が残っています。その美しい農村の風景や、受け継がれてきた文化が高く評価され、岐阜県白川郷とともに世界文化遺産に登録されています。
五箇山の紅葉は、一般的に見られるモミジやカエデよりも、ブナやナラ、トチといった、黄色やオレンジが多く見られるのが特徴です。紅葉シーズンの終わり頃には、近くの山の山頂付近で初冠雪が見られることもあるそうです。天気の良い日には、青空、積雪、そして紅葉といった三段染めが見られることもあります。

【中部】静岡県熱海市:熱海梅園
朝晩がぐっと冷え込むようになってきた中部支社から紹介する紅葉スポットは2つ。
まずは静岡県熱海市にある熱海梅園です。熱海梅園は、温暖な気候に恵まれ、「日本一早咲きの梅」、そして「日本一遅い紅葉」が見られる場所として知られています。園内にはカエデ類がおよそ380本も植えられ、毎年11下旬から12月にかけて色づきます。
早咲きの梅は、例年11月中旬あたりから開花が始まるので、紅葉と梅を同時に楽しむこともできるそうです。ちなみに今年2025年は、園の記録上、最も早い10月上旬に梅の開花が確認されています。もみじと梅の競演、ぜひ1度見てみたいですね。

次に紹介するのが、愛知県稲沢市祖父江町です。
秋が終わりに近づいてくると、およそ11,000本ものイチョウが色づき、まち全体が黄金色に染まる祖父江町山崎地区。こんなに綺麗なのに、実は観光用に植えられたわけではなく、冬の時期、濃尾平野を吹き抜ける「伊吹おろし」から屋根を守るために、江戸時代から寺社仏閣や屋敷周りにイチョウが植えられ始めました。祖父江町ではイチョウ並木を縫うように赤い電車が走り、電車の赤色とイチョウの黄色のコントラストがとても綺麗です。

【関西】大阪府:万博記念公園
大阪・関西万博の熱気冷めやらぬ関西支社からは、「万博記念公園」の紅葉をご紹介します。
1970年の大阪万博の開催地として知られる万博記念公園。万博閉幕後は、自然豊かな公園に生まれ変わりました。秋には、赤や黄色に色づくたくさんの木々を見ることができます。
中でもオススメなのが、日本庭園です。平安時代から現代にかけての庭園様式の移り変わりを表現していて、昨年には、国の登録記念物として文化財に登録されました。1970年の大阪万博に思いをはせて、万博記念公園の紅葉を楽しんでみるのはいかがでしょうか。

【九州】大分県九重町:九重“夢”大吊橋
九州支社からは大分県九重町にある「九重“夢”大吊橋」をご紹介します。
この吊り橋は長さ390m、高さ173mもあり、歩道専用のつり橋としては日本一の高さです。秋になるとつり橋の周りの山々が赤や黄色に色づいてきます。橋の上からは空中散歩をしているような気分で、美しい紅葉と共に滝なども眺めることができます。
11月下旬になると夜はうんと冷えますので、紅葉狩りに行くときは防寒対策をしっかりしてください。

