来年からの新NISA制度に向けて、NISA口座の開設を考えている方や既存のNISA口座からの切り替えを検討されている方もいるでしょう。
金融機関や証券会社ではNISA口座の開設に向けたキャンペーンを行っている場合もありますが、キャンペーンだけに目を奪われるのではなく、それ以外のポイントを押さえておきましょう。
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金融機関選びでは、どこを見る?
NISA口座は1人1口座しか開設できず、重複してNISA口座を開設することはできません。
開設後に変更はできるとは言え「とりあえずこの金融機関」ではなく、自分が希望することや比較をしっかりと行った上で選びたいものです。
取扱商品
NISA口座を通して購入できる金融商品は金融機関によって異なります。
具体的には、下記の通りです。
銀行やゆうちょ銀行よりも証券会社の方が購入できる投資商品の種類は豊富です。
また、金融機関によって投資信託の取扱い銘柄数も異なりますので注意が必要です。
【銀行・ゆうちょ銀行】株式投資信託(国内・海外)
【証券会社】株式投資信託(国内・海外)、上場株式(国内・海外)、ETF(国内、海外)、J-REITなど
※預金、債券(国債、社債)はNISAの対象外
※金融機関によって取り扱いが異なる場合もありますので、ご注意ください
手数料
購入時や保有中、売却時に金融商品によってはそれぞれ手数料が発生します。
この手数料は最終的に収益に関係してきます。
同じ投資商品を購入するのであれば、手数料が安い金融機関を選ぶことが必要です。
購入時・売却時の手数料
・上場株式:購入時、売却時にそれぞれ証券会社ごとに定められた手数料が発生します。
売買手数料は、対面取引よりもネット取引の方が相対的に低くなっています。
なお、SBI証券、楽天証券、松井証券、GMOクリック証券、マネックス証券などネット証券では、NISAの取引(一部の取引を除く場合もあり)では売買手数料を無料にしている証券会社もあります。
・投資信託:購入時に購入時手数料が発生し、売却時は一部の投資信託では「信託財産留保額」といった手数料が発生します。
なお、一般NISA(来年以降は成長投資枠)では、取扱いの金融機関によっては「ノーロード」と言われる購入時手数料が無料のものもあります。
つみたてNISAでは購入時手数料が無料となる「ノーロード」が、つみたてNISAの対象商品の要件のうちの一つとなっています。
保有中
・上場株式:保有中に手数料は発生しません。
・投資信託:保有中に「信託報酬」といった手数料が発生します。
日経平均株価やNYダウなど一定の指数に連動するインデックス型の方が、一定の指数よりも上回る収益を目指すアクティブ型よりも、一般的に信託報酬は低くなっています。
金融機関ごとの比較ですが、同じ投資信託名で比較する、または日経平均株価に連動するインデックス型など同じタイプの運用手法の投資信託で金融機関ごとに比較するのも一つです。
対面窓口で相談したい? ネット完結でOK?
はじめて資産運用をされる場合には、分からないことや不安に思われていることもあるでしょう。
相談を活用したい時に、対面などの相談を希望するのか。
もしくは、問い合わせなども含めて、ネットの完結で問題ないのか。
も確認しておきたいところです。
ポイントサービス、その他
最近は金融機関によっては。購入に応じて特定のポイントが貯まるサービスを行っています。
ただし、ポイントサービスはあくまでおまけとして考えてください。
重要性が高いのは、上記の手数料になります。
また、金融機関ごとでその他資産運用に必要なサービスを展開している金融機関もあります。
その場合も本当にそのサービスが必要なのか? を考えた上で比較検討の材料の一つにしてください。
つみたてNISAの場合は
つみたてNISAの場合には、毎月の最低積立金額が定められています。
金融機関によって最低を100円や1,000円など異なります。
また、積立方法も自動引き落としや預り金方式、最近はクレジットカード積立(クレカ積立)ができる金融機関もありますので、確認しておきましょう。
新NISA開始までに口座を開設した方がいいのか?
2024年1月から新NISAがスタートする予定ですが、もちろんその時にはNISA口座を開設しておく必要があります。
口座開設には対面手続き・ネット手続きに関係なく、2~3週間程度はかかります。
今後、新規開設する方が増加するとなると、もっと期間が必要になるかもしれません。
そこで、口座開設は早めに行っておきましょう。
2023年中に現行NISAでの口座が開設されていれば、2024年以降、自動で新NISAの口座が開設されます。
また、新規で現行NISAの口座を開設されたとしても、取引は来年からの新NISAにて始めることも可能です。
今年も残り3か月を切りました。
来年に向けて今からできることは早めに行っておきましょう。複数の金融機関を比較することが大切です。(執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久)
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