ガーデン Research Memo(6):2026年2月期中間期は、客数減と費用先行でやや厳しい決算
1. 2026年2月期中間期の業績概要
2026年2月期中間期の業績は、売上高8,823百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益804百万円(同22.8%減)、経常利益754百万円(同23.7%減)、中間純利益496百万円(同21.2%減)となった。既存店売上高が前年同期比で伸び悩み、営業利益が減益となるなどやや厳しい決算だった。中間期末の店舗数は、6店舗出店(直営5店舗、FC1店舗)、4店舗退店(業務委託1店舗、FC3店舗)により197店舗(直営166店舗、業務委託1店舗、FC30店舗)となった。
日本経済は、雇用や所得の改善により景気が緩やかに回復する一方で、原材料価格や燃料価格、物価の上昇などが個人消費に影響した。外食産業においても、仕入価格や光熱費の高騰、人手不足による人件費の上昇が収益を圧迫し、春先から観測史上初を何度も更新するような猛暑により消費行動が抑制されるなど、ラーメン業界をはじめとして依然厳しい経営環境が続いている。
このような環境下、同社はアンケートなどによる顧客の声を店舗運営に生かすとともに、日々QSCAの改善・向上に努めた。また、従業員の働きやすい環境作りを目指してマニュアルの整備を継続、早期戦力化や離職改善を目的に新入社員の初期教育制度も確立した。物価高に対しては、原価率は低いものの満足感の高い商品の導入や段階的な値上げを進めるとともに、「ブランドの日」や「お客様感謝祭」「周年記念祭」などの名目で月に数回、メイン商品を安価で提供するフェアを開催した。既存顧客の来店動機を高めるため、スマートフォンアプリでこうしたフェア情報を発信したほか、アプリ会員限定のスタンプカード機能や割引クーポンを導入した。また、各ブランドで季節限定メニューや期間限定メニューの提供に加え、一部店舗でテレビアニメ「ラーメン赤猫」とコラボしたフードやドリンク、オリジナルグッズの販売を行った。さらに、同社の上場を記念して、2025年7月中旬~9月上旬の期間限定で金の器に金色の海苔と金箔をトッピングした「MAXラーメン」バージョンアップ版の「壱角千金“株”ラーメン」を販売し、テレビのワイドショーでも注目を集めた。
この結果、売上高は前年同期比3.5%増となった。既存店売上高は前年同期比2.8%減と想定より低く、進捗率は前年同期(49.7%)にやや届かない48.2%となった。直営店の新規出店は、「壱角家」が4店舗、「山下本気うどん」が1店舗だった。出店計画に対して「壱角家」は引き渡しが9月に延びた1店舗、「山下本気うどん」は出店が第3四半期以降になった2店舗が未達となった。FCの出退店は、新規出店は「山下本気うどん」1店舗、退店が「壱角家」1店舗、肉寿司2店舗、業務委託のすためし1店舗だった。事業別では、成長ドライバーである「壱角家」と「山下本気うどん」を展開する主力のラーメン事業とレストラン事業は堅調だったが、ステーキ事業は退店1店舗とライス食べ放題を中止したこと、寿司事業は退店2店舗と主力立地であるお台場近辺の集客低迷により苦戦した。一方、フランチャイズ事業は「山下本気うどん」向けの食材や製麺機など機材が牽引して好調だった。なお、第2四半期はラーメン事業とレストラン事業も伸び悩んだが、猛暑の影響を受けやすい駅前好立地の店舗が多かったことが要因と考えられる。
既存店売上高を分解すると、客単価が前年同期比4.0%増、入店客数が同6.6%減となる。客単価の上昇は前期に商品価格を値上げした効果によるもので、入店客数の減少は、値上げの反動をある程度想定しつつも、前期以上の記録的猛暑により主力業態がある繁華街の流動人口が減ったため、新価格の浸透や離反顧客の回帰に時間がかかったほか、インバウンド客と深夜帯・早朝帯の苦戦などを要因としている。なお、深夜帯~早朝帯については、24時間営業店舗限定だが深夜サービス料を始めたことが要因のため、入店客数の減少傾向はやや続きそうだが、足元では入店客数は戻りはじめているようである。
売上総利益率が低下した要因は、物価上昇による食材の高騰やFC加盟金売上の減少、採算の低い卸売の増加によるミックス変化もあるが、既存店売上高低迷を打開するため、感謝祭などのフェアを強め過ぎたことにある。また、前年同期比で直営店が9店舗増加したことをはじめとして、販管費も売上高の伸び以上に増加した。家賃や人件費、水道光熱費の増加に加え、キャッシュレス決済対応券売機導入によるカード手数料の増加(中間期末で全店舗導入済み)、上場に伴う外形標準課税の負担増加、事業譲受や海外展開に伴う専門家への報酬支払が発生した結果、営業利益は減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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