スカラ Research Memo(5):事業構造改革の実施により財務体質は改善傾向
3. 財務状況と経営指標
2025年6月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比2,477百万円減少の10,222百万円となった。流動資産では現金及び現金同等物が2,230百万円、営業債権及びその他の債権が589百万円それぞれ減少したほか、金融事業の売却により再保険資産521百万円がなくなった。非流動資産では投資事業有価証券が269百万円減少した一方で、使用権資産が773百万円、繰延税金資産が360百万円それぞれ増加した。使用権資産は、TCG事業における新物流拠点20年分の賃借料を計上したことが増加要因となった。
負債合計は前期末比2,743百万円減少の5,387百万円となった。非流動負債ではリース負債が792百万円増加した一方で、有利子負債が2,751百万円、保険契約負債が628百万円減少した。資本合計は同266百万円増加の4,835百万円となった。非支配持分が199百万円減少した一方で、親会社の所有者に帰属する持分が465百万円増加した。
経営指標を見ると、親会社所有者帰属持分比率は前期末の34.2%から47.0%に上昇し、有利子負債比率は同133.5%から63.2%に低下するなど経営の安全性を示す指標はいずれも大きく改善した。事業構造改革を実施した結果、資産規模が3年前と比較して約半分の水準までスリム化し有利子負債の削減を進めたこと、期間収益も2期ぶりに黒字に転換したことなどが要因だ。ネットキャッシュ(現金及び現金同等物-有利子負債)も、2021年6月期末の3,835百万円をピークに前期末は1,027百万円まで減少していたが、2025年6月期末は1,548百万円と増加に転じ、財務体質の改善が進んだものと評価される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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