フィード・ワン Research Memo(3):畜・水産業にも高い生産効率が求められるため、同社技術力の発揮に期待
2010年代中頃には、人口減少やTPP協定による畜水産物の輸入増加等の影響により、畜産業や養殖業の縮小が予想されていた。しかし、実際にはこの10年間、配合飼料の流通量は畜産飼料が約2,400万トン、水産飼料が約60万トンと、多少の増減はあるもののほぼ横ばいで推移している。なお、日本の米の消費量は約700万トンであることからも、配合飼料市場規模の大きさがうかがえる。また近年、日本における米の消費量が減少傾向にある一方で、国内の畜肉生産量は増加傾向にある。これは、日本人の肉食需要の増加に加え、訪日外国人の増加によるインバウンド需要や、和牛の輸出拡大等が背景にあると見られ、日本の畜産業が底堅い産業であることを示している。
また、養殖業に関しては、「日本人の魚離れ」という言葉が聞かれるものの、健康志向の高まりや回転寿司の人気等により、養殖魚の注目度は上昇している。天然魚の漁獲量が減少傾向にある中でも、養殖魚は生産履歴が明確で安定供給が可能であるため、需要が高まっている。近年では陸上養殖に取り組む企業も増加しており、環境負荷の低減や都市近郊での供給安定等のメリットから、市場のさらなる活性化が期待されている。
配合飼料の大きな特長として、食品副産物(食品の製造過程で得られる副産物)を原料として活用している点が挙げられる。これは食品のリサイクルループの中核を担っており、資源循環型社会の実現に向けた重要な取り組みとしても注目されている。
こうした状況のなか、畜・水産業も製造業と同様に、高い生産効率を追及して事業の大規模化が進んでいる。例えば、鶏肉はこの20年間で生産量が30%以上増加しているにもかかわらず、養鶏用飼料の流通量はほぼ横ばいで推移している。これは、鶏がより少ない飼料で成長できるようになったことを示しており、配合飼料メーカーには高い生産効率を支える技術力が求められている。このようなことから、同社の畜産飼料事業と水産飼料事業における技術力の優位性が今後ますます発揮されることが期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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